「秘密の趣味」を知られずに処分する方法

自分のオタクグッズの処分について遺言で細かく指定したい場合、目録の作成には注意が必要です。具体的にどのグッズを指しているのかがきちんと特定できるように記載して、遺言を読んだ人が解釈に困らないようにしましょう。特定さえ可能であれば、記載の方法はなんでもかまいません。

小林航太『オタク六法』(KADOKAWA)
小林航太『オタク六法』(KADOKAWA)

たとえば、アニメグッズの場合、グッズの種類、作品名、キャラクター名、(フィギュア等の場合)キャラクターの衣装、メーカー名、発売年、保管方法(●●のケースに保管してある等)などで特定することが考えられます。誰が読んでもどういうものか、確かにこれだとわかれば問題ありません。

ハードディスクやパソコンは、それじたいが(物理的な単位で)相続財産になります。中身のデータも付随して相続されますので、見られたくないデータが入っている場合には注意が必要です。

家族に知られたくないような趣味に関するグッズなどを信頼できる友人に託すということももちろんできますが、生前に託しておかない限り、家族に一切知られずに実現することは現実には難しいでしょう。

生前に「死後事務委任契約」を結んでおく

生前に被相続人が会員として登録・利用していたウェブサイトやSNSなどのサービスがあった場合、そのサービス利用者としての地位も、相続人が引き継ぐのが原則です。

しかし実際には、多くのサービスの利用規約上で、相続人がサービス利用者としての地位を引き継げないよう定められています。

ハードディスク上のデータの削除や、SNS等の退会やアカウントの削除を依頼するには、死後事務委任契約を結んでおくという手段もあります。

パソコンのDeleteキーを押そうとする指
写真=iStock.com/Diy13
※写真はイメージです

これは読んで字のごとく、死後の事務を委任する契約です。本当にその契約の内容どおりにやってくれるかどうか確かめようがない……というのはありますが、信頼できる人とこの契約を結んでおき、ほかの人には見られたくないデータの削除を依頼したり、死後にSNSで死亡した旨の告知をお願いしておいたりしておけば、一片の悔いもなく……というのは難しいかもしれませんが、少しは安心して旅立てるでしょう。

【関連記事】
【第4回】悪質な投稿は「著作権侵害」の罪になる…ネット上で「許されるネタバレ」と「ダメなネタバレ」の境界線
「実家に誰も住まなくなったのに売却できない…」58歳ひとり息子がバカ高い"維持費"を払い続けるワケ
100人に8人……本人たちさえ知らない預金まで調べ上げ、相続税を徴収する「税務署」の恐るべき調査能力
「白アリ駆除の領収書、小学校の卒業証書…捨てていいのは?」絶対に捨ててはいけない"重要書類"の判断基準
75歳まで我慢すれば84%増になるが…お金のプロがあえて「66歳から年金受給」をオススメする理由