テレビに出まくってもあまりいいことはない

――「タモリ倶楽部」や「アウト×デラックス」などのテレビ番組にもご出演されていますよね。その後、反響はどうですか?

【今和泉】テレビに出ても、仕事はあまり増えたとは思っていません。視聴者の方の瞬間的な反応は最高値に達しますが、長期的には響かないと私は思っています。私がおいしい飲食店を経営していたり、節税のポイントを解説する会計士だったりしたら仕事を頼みやすいですが、一般の方が番組を見ても、どんな仕事を頼めばいいか分からないじゃないですか。

それに、テレビに出演することで得られる収入って、多くの人が思っているよりも多くないんですよ。テレビに出演すると「ご活躍ですね」と言われることが増えるのですが、なにをもって活躍なのかが分からなくなり、個人的には「ご活躍問題」と呼んでいます。

――テレビに出演したからといって、必ずしも仕事や収入が増えるわけではないと。

【今和泉】一方で、『みんなの空想地図』という本を出した後すぐに、アルバイトと個人事業の比率が2:8から8:2に変わったんですよ。空想地図に関する依頼かなと思ったら、デザインだったんですけどね。ただ、本を出したことによって、「この人は自営業者として長期的にやっていくんだ」という見られ方をしたから、仕事が頼みやすくなったんじゃないかなとは思います。

多くの視聴者よりも、本を読んでくれる読者を大切にしたい

――今和泉さんが今後やっていきたいことはありますか?

【今和泉】自分は作家で食べていこうとは思っていなかったのですが、キャリアを振り返ると、執筆業や公立美術館での展示など、「作家」としての仕事が多いんです。これまでのキャリアを活かすのであれば、本の執筆をしたり、空想地図の新作をつくったりしていくべきですよね。

私はわかりやすい仕事をしていないので、仕事を依頼するには私が全国の土地勘があることや、地図が読めること、デザインができることなどの得意を掛け合わせて何ができるかという解釈が必要になります。本の読者はテレビの視聴者よりも少なくはなるのですが、私のことをより深く理解してくれる。

本を刊行して仕事につながったと実感できることが多いので、本を書くのは苦しいですが、積極的に書いていきたいですね。

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