「東京だとIT関係者ばかりに囲まれて、同質的な価値観に染まってしまう。愛媛に戻ると、まったくバックグラウンドが異なる人たちに会えるから面白い。東京と愛媛ではビジネスの生態系がまったく違いますからね」
第2回は岡山で開催する予定だという。
「イベントは回を重ねていくうちにだれていくリスクがあります。毎回フレッシュな気持ちでやるためには瀬戸内内の各地域で持ち回り制にするといいんです。基本コンセプトは同じでも、開催地ごとに形が変わってもぜんぜん構いません」
参加者200人超の6割以上が経営者
第1回の準備が本格スタートしたのは今年6月。準備期間はわずか数カ月に限られたわけだ。人数を集められなかったり大物を呼べなかったりするなど、拙速になってもおかしくなかった。
ふたを開けてみると、スタッフも含めて総勢230人以上が参加し、南海放送本町会館の会場を埋め尽くした。このうち6割以上が経営者、5割以上が県外出身者で占められた。参加費は食費も含めて1人当たり1万5000円だ。
突貫工事となって大変だったのでは? 坂本は「ニューズピックスをやってきたので、カンファレンスには慣れています。先週も東京・丸の内で4000人以上のイベントで総責任者をやったばかり。勘所は分かっていました」と言う。
東京・丸の内のイベントとは、10月下旬にニューズピックスが主催した大型ビジネスフェスティバル「CHANGE to HOPE 2022」のことだ。
口説き文句は「瀬戸内出身ですよね?」
ブラストセトウチには大物も現れた。経済産業大臣の西村康稔だ。オープニングスピーチで登壇し、30分間にわたってスタートアップによる地域活性化を唱えた。「日本が危機を乗り越えるためにはイノベーションを起こすしかない。イノベーションの主役はスタートアップです」
会場内では当初「イノベーションに絡んでいるから西村大臣が来たのかな?」といった声も聞かれた。実際には違った。生まれ故郷が兵庫県明石市で、選挙区も明石市と淡路島であることから、経産大臣は瀬戸内としっかりつながっているのだ。
スピーチの中で本人は「塩崎彰久さんから出てくれと言われて、すべての予定を投げ捨ててやって来ました」と冗談を飛ばしている。
塩崎も実行委員会メンバーの一人だ。どうやって西村を口説いたのか? 「最初に『瀬戸内出身ですよね?』と強調したんです。そしたら、ものすごく忙しいはずなのに二つ返事でOKしてもらえました」