手帳に数字を書き留められるか

具体化力をつけるのに役立つのが「書く」ことです。何をどう書くのか、具体的には以下3つの実践をお勧めします。

小宮一慶●小宮コンサルタンツ代表取締役。1957年、大阪府生まれ。81年京都大学法学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。岡本アソシエイツなどを経て、95年小宮コンサルタンツを設立。著書に『「超具体化」コミュニケーション実践講座』など多数。

1つ目は手帳に数字をメモすること。私は毎日、新聞や雑誌で目に留まった興味深い数字を自分の手帳に書いています。例えば、「中国が米国債を9000億ドル保有」「日本の銀行の国債保有高が126兆円突破」といったことですが、時々、見返しては、認識を新たにしたり、別の物事を関連づけて新しい仮説の構築に役立てたりしています。オリジナルの『小宮一慶手帳』には、まさにそのための「今日の数字」という欄を設けたくらいです。

多くの人は新聞を熱心に読み込むくらいはやりますが、「書き留める」というところまで踏み込んでやる人は稀なので、ここが勝負どころです。1年や2年くらいでは差が出ないかもしれませんが、10年、15年経つと、書き続けた人としなかった人とで、大きな実力差が出てくるのです。

重要なのはニュースの数字だけではありません。自社の売り上げや利益率が発表されたとき、それを書き留められるか。2度、3度書いておくと、関心のフックができるので、次からは書かなくても覚えられます。そうすると、その数字はあなたの頭に取り込まれたことになる。そうしたら同業他社の数字も知りたくなるでしょう。そういう比較があなたの仕事にどれだけの奥行きと幅をもたらすか、わかりません。

人が成功するかどうかは紙一重の努力の積み重ねでしかありません。毎日の正しい習慣の積み重ねができれば、人間、大概のことならやれるものです。しかも人間の能力は複利で伸びます。やればやるほど加速度的に伸びていく。そうやって他の人との差が顕著になったら、会社も世間も放っておきません。とにかく辛抱して日々の努力を積み重ねることです。