2つ目は日記を書くことです。私は18年前から3年連用日記をつけています。きっかけは新聞の夕刊で、女優の檀ふみさんが連用日記をつけているという記事を読んで、楽しそうだったから、という単純なものでした。
長年つけてみてわかったことは、人間の時間に対する感覚はきわめて曖昧ということです。つい最近のように思えたことが2年前のことだったり、逆に、はるか昔の出来事だと思っていたことが1年前の出来事だったりするのです。また誰かに非常にお世話になったとか、頭にとどめておくべき重要なことなのに、忘れていることもままあります。3年連用日記は1年前、2年前の同月同日の記述を読み返せるので、そういうことが実感できるのです。日々、日記を綴り、折に触れて読み返すことは、過去の記憶を鮮明化させ、それこそ具体化させることに役立ちます。
数字という面でいえば、私は毎日、体重と血圧を測り、日記に記入しています。食べすぎた日は必ず体重が増えているので、翌日に食事を少しセーブします。そういう調整が可能なので、ここ十数年、私の体重はあまり変動していません。血圧についてもしかり、です。これらは純粋に健康のためにやっていることですが、一つの数値を毎日測ってメモすることで、数字に対する感覚が養われる。数字に強くなるには、自分の血圧でも構いません、とにかく自分の関心が向く数字を定点観測することです。
3つ目は、毎月初めにその月の目標を立てて紙に書くことです。長期目標をブレークダウンして短期の目標をつくれ、という人がいるが、私は逆だと思っています。短期の月間目標を立て、その通りに実行していくことで、長期の目標が自然に形づくられるのです。私は「本を100冊書きたい」という長期目標をもっていますが、これとても、1冊、2冊と書き進め、世の中に受け入れられていったからこそ、頭の中で自然に出来上がったものなのです。
目標は、仕事上のものとプライベートのもの、最低2つが必要です。ここでも具体性を意識してください。後者は「旅行に行く」とか「映画を観る」とか、何でも構いませんが、前者に関しては、日常の仕事から離れた、勉強に関する目標を立てることをお勧めします。営業の人なら、今月の売り上げ目標といった、仕事に直結した事項ではなくて、営業の本質について書かれた名著を1冊読んでみよう、といったことです。
オン・ザ・ジョブの仕事を懸命にやれれば人は一人前にはなれますが、それだけでは一流にはなれません。仕事の本質はオン・ザ・ジョブには存在しません。だからこそ、オフ・ザ・ジョブの時間に本質を学ぶ必要があるのです。