横隔膜呼吸と胸式呼吸の使い分け
横隔膜呼吸は、胸郭と腹部を全方向に同時に拡張し、横隔膜を効率的に収縮させながら呼吸するのが特徴です。
平常は、できるだけこの呼吸を維持したいところですが、精神状態や運動による心肺への負荷、健康状態に応じて呼吸のしかたは変わります。
一般的に胸式呼吸=悪い呼吸と思われがちですが、激しい運動をしているときや感情的になっているときには、自然と胸式呼吸(努力性の呼吸)に切り替わります。つまり、より多くの酸素を取り込まなければいけない状況下では、胸式呼吸が正解なのです。
ただし、なんでもないときにもこの呼吸をしていると、身体がとても疲れやすくなります。
最適な呼吸の型を習得するためには、時々胸とお腹に手を置いて、横隔膜呼吸をしているか確認することが肝要です。
呼吸を見直す際に気を付けること
呼吸を見直すときは、肋骨を下げながら息を吐くことから始めるのが良いでしょう。こうすることで、全身の緊張が緩和して、遊びがなくなっている胸郭の可動性が改善するからです。
呼気は、深く長くゆっくりと吐くのがポイントです。また、息を吐くときにお腹に力が入っていると、横隔膜と肋骨の動きが止まってしまうのでお腹を緩めておきます。
次に胸骨や肋骨の脇に手を置いて、肋骨の動きをモニタリングします。置いた手に力を入れてしまう人が多いのですが、あくまでも手は肋骨の動きを感知するだけです。
はじめのうちはお腹の力がうまく抜けず、4~5秒で息を吐き終わってしまうかもしれませんが、肋骨を下げながら息を吐く感覚をつかめれば、10~15秒くらいかけて息を吐けるようになるでしょう。長く息を吐けるようになるほど、心身のリラックス度が増し、息を吸ったときに、より多くの空気を取り込めるようになります。
仰向けで数回息を長く吐いた後、肋骨の脇を両手で押すと胸郭がたわむのを感じ取れるはずです。
はじめは仰向けで吐く練習をし、座位→立位→歩行とポジションを変えていきます。