少子化を防ぐには婚姻数を増やすしかないが…

日本の出生数が減少し続けているのは、婚姻数の減少によるものです。もちろん、結婚すれば必ず子どもを産むということではありませんが、そもそも婚外子の割合が極端に少ない日本においては、少なくとも結婚の数が増えなければ子どもの数は増えません。私は「発生結婚出生数(婚姻数に対してどれくらいの出生があったか)」という指標を作っていますが、1980年代以降その数値はずっと1.5人で変わらず推移しています。

つまり、婚姻数が1つ増えれば、その後離婚などがあったとしても、計算上は1.5人の子どもが生まれるということを意味します。逆に、婚姻が1組減れば1.5人の出生数が減るわけです。

婚活支援で「壁ドンの練習」などありえない

そうした「婚姻数が減れば出生は減る」という根本問題については今まであまり触れられませんでしたが、さすがに問題の本質を無視し続けることはできなくなったのか、最近の政府の白書や提言には「少子化対策としての婚姻支援」という文言がいの一番に語られるようになりました。課題の抽出としてそれは間違ってはいないと思います。

とはいえ、婚姻支援をしたからといって婚姻数が増えるものでもありませんし、婚姻数を増やしたいからと、先般炎上した内閣府の研究会の提言のように「若者が恋愛しなくなっているのだから、恋愛支援をすれば婚姻も増えるはず。だから壁ドンの練習だ」などという論法はありえません。

そもそも、いつもいつも草食化とか恋愛の不活性化などと「これもできない、あれもできないよね」とネチネチ指摘してばかりなのは、部下のミスをいつまでも蒸し返す上司のパワハラ行動そのもののようでいかがなものかと思うわけです。

ラウンジでおしゃべりする男子学生たち
写真=iStock.com/Kavuto
※写真はイメージです

そもそも若者が恋愛をしないということ自体、別に彼らのミスでもありませんし、恋愛していないのは今に始まった話でもない。

つい先日公開された最新の出生動向基本調査の未婚者調査の結果をふまえた上で、まずは問題の本質はどこにあるかという点を共有しておきたいと思います。