恋愛したくない未婚者を糾弾するのは間違っている
少子化対策としての婚姻数増を図ることは間違っていません、しかし、だからといって、その手法として、恋愛経験のない未婚者に無理やり壁ドンの練習などをさせることはありえないし、また、「恋愛したくない」という未婚者に対してその考えや生き方を否定して、「きみたちは間違っている」などと追い詰めることなどあってはならないことです。婚姻支援というのであれば、むしろ「恋愛も結婚もしたいのにできない」という不本意未婚の層に重点を置くべきでしょう。
同じく出生動向基本調査と国勢調査を掛け合わせて、年代別の結婚を希望する未婚者を母数として、その後の5年間でそのうちどれだけ初婚をしたかという「結婚希望達成率」を算出しました。初婚数は5歳階級別の初婚数を人口動態調査より当てはめています。
草食化などという自己責任にすり替えてはならない
これによれば、若年層においては1990~1994年では、男性でも達成率80%超、女性に至っては、ほぼ100%です。これは、結婚を希望する20~34歳の未婚女性は1990年代前半まではほぼ全員が結婚できたということになります。その後、2005年にかけて大きく減少し、男女ともに5割台に下がっています。
要するに、34歳までの若年未婚のうち「結婚したいのにできない」層が5割近くも残されていることになります。ちなみに、中年男女は、達成率そのものは低いですが、結婚したいという希望者に対する達成率は、男女とも90年以降それほど変わりません。
つまり、これは「結婚できない若者」問題ということになるのです。
「本当に結婚したいなら、若いうちに結婚しておけ」という高齢既婚者もいますが、今の高齢既婚者が恩恵を受けていたお見合いや職場のお膳立てもなくなり、30年間給料が全然あがらないという経済環境の問題も皆婚時代とは大違いです。さらにはコロナ禍の行動制限などによって、そもそも出会いの機会すら剝奪されてしまった若者たちにとっては、本人のやる気や努力の問題ではないと言いたくもなるでしょう。
結婚したいと願っている若者が、若者であるうちに結婚できない。そんな「結婚したいのにできない若者が5割近く」も存在する状況、そしてそんな若者の環境をつくり出したのは誰なのかということを大人たちは自分自身に問い直す必要があるのではないでしょうか。最近の若者は草食だとか不活性だとか、そんな若者の意識の自己責任にすり替えてはならないと思います。