国民の4割はトランプ支持者といわれ、もはやUSA(United States of America)でなく、分断(Divided)された国家の“DSA”になっている。そんなトランプ氏は、2021年1月6日の議会襲撃事件を扇動している。彼の支持者がいまだにいるアメリカが「民主主義の国」などとは言いがたい。
日本では憲法9条で「戦争の放棄」をしているが、15年に安倍政権が強行採決して成立した安保法制(安全保障関連法)で、集団的自衛権が定められた。日本が直接武力攻撃をされていなくても、米国が戦争を始めたら、日本は米軍の統制下で戦う可能性がある。
今なら、たとえば「台湾危機」が起きたら、曖昧な態度しか見せないバイデン大統領が日本の親分ということだ。高齢な彼に何かあれば、外交経験がまったくないカマラ・ハリス副大統領が指揮する米軍のもとで、日本は戦争に参加することになる。
そのアメリカの21世紀の戦争を見ると、イラク戦争では、サダム・フセイン大統領を追い出したらどういう国になるのかわからないなか「独裁者を許さない」と占領したが、その後は敵対するシーア派勢力が強くなり、イラク統治への興味を失ってしまった。
9.11テロ事件の犯人、オサマ・ビン・ラディンが隠れている、ということで始まったアフガニスタン侵攻は、成果のないまま20年後に撤収し、元の木阿弥、ビン・ラディンをかくまったタリバンがはびこっても知らんぷりをしている。何が目的なのか、何を考えているのか、まったくわからないのが、今のアメリカなのだ。
自民党外交は失敗ばかり
日本、米国、オーストラリア、インドのQuad(日米豪印戦略対話)にしても、「対中国包囲網」といわれるが、実効性のある軸は見当たらない。
なかでもインドは、得体が知れない国だ。ナレンドラ・モディ首相は理解しやすそうな態度は見せるが、その態度をくるくる変える八方美人なところがある。ロシアから地対空ミサイルシステム「S-300」「S-400」や原油を買っている。さらに極東ロシアで展開している大規模な軍事演習「ボストーク」に参加するほど親ロシアで、必ずしも米国追従ではない。
オーストラリアも、最大の貿易相手国は今や日本ではなく中国だ。言うまでもなく日米も、中国とのサプライチェーンの結びつきは強いのだから、「中国包囲網」という意味がわからない。せいぜい自国の首を絞める政策に後ろからついていく、という以外の意味を見いだせない。
日本独自の軸が必要なのは、特に東アジアの近隣外交だ。近隣といっても、北朝鮮は対話が不可能だから、まずは国境を接する中国、韓国、ロシアとの関係が重要だ。