少子化の7~8倍のスピードで減っている野球人口

全日本野球協会によると、小中学生の野球人口は2007年に66万4415人だったが、2020年には40万9888人まで減少。少子化の7~8倍のスピードで減っているという。他のスポーツと比べて、アイテム数が多く、お金がかかるのも野球人口の減少につながっているようだ。

全国高等学校野球選手権地方大会の参加チーム数も第84・85回大会(20・21年)でピーク(4163)を迎えると、徐々に減少している。2012年からは部員不足の学校による連合チームの出場も認められたが、今年104回大会は前年から56減の3547だった。

その一方で今夏の甲子園出場校のうち部員数が100人を超えるチームが10もあった(※最多は八戸学院光星の174人)。登録選手は18人なので、大所帯のチームは大半がベンチにすら入ることができない。多くの部員がそれを承知の上で入部するし、ベンチ外でもそれぞれにチームのためにできる役割がある、といった意見もある。ただ、教育上好ましくないという疑問を抱く指導者も少なくない。

より多くの学校に野球部を存続させるためにも「部員は各学年○人まで」にするなどの制限を設けた方がいいかもしれない。

甲子園球場のアルプススタンドでは団体応援が繰り広げられている。応援団、チアリーダー、ブラスバンド。「人文字」が沸かせた時代もあった。なかには半ば強制的に参加させられていると感じている生徒もいるという。こういう応援も考え直すべきかもしれない。

吹奏楽部による応援
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スポーツの世界は応援が大きくなると、選手のパフォーマンスが引き出され、時には判定への影響を及ぼす可能性もある。甲子園へのアクセスを考えると、近畿勢と東北勢では当然、応援に来られる人数に差がつく。東北勢が甲子園でなかなか優勝できなかったのも、応援の差があったかもしれない。

アルプススタンドの「団体応援」は各校100人までに限定するなど、縛りを設けてはどうだろう(※もちろん個々の応援を制限するものではない)。主役である選手たちのためでなく、アルプススタンドで応援する者たちのための資金を寄付金で集めるのもよく考えればナンセンスだ。