母親の目を気にして育った長女
早瀬須美さん(40代・独身)は、知人の紹介でお見合い結婚した薬品メーカーに務める39歳の父親と、パートとして社員食堂で働く35歳の母親のもとに長女として生まれた。4歳上には兄がおり、きょうだい仲は良かった。
ただ、母親は人を非難したり悪く言ったりするなど、マイナス面ばかり指摘するタイプで、人を褒めるのは下手だった。そのため、幼い頃の早瀬さんは自尊心が傷つき、自分に自信が持てずに育った。
「母に叱られても、基本反抗しません。しても母はヒステリックになるだけで、話を聞かず、ただうるさいからです。叱られたらいつも自分の部屋に逃げていました」
基本、母親に反抗しなかった早瀬さんは、大学生の頃にたった一度だけ、母親に対する憤りがたまりにたまって爆発したことがある。その時は、「お母さんは自分中心に世界が回ってると思ってるんだよ!」と言い、その後、3日ほど口を聞かなかったという。
「とにかく母は、“うるさい存在”とだけ思っていて、自分はデキナイ人、ダメな人だと思っていました。でも、私が確か年長か小学1年生の頃、一人で帰宅していた途中で雨か雪が降ってきたのですが、母親が迎えに来てくれた時の安心感はいまだに忘れません。それなりに愛情は感じていたんだと思います」
母親には、何をやっても文句を言われるため、相談事があっても、ほとんど母親には相談せず、父親に相談。すると父親からはいつでも、「自分で決めなさい」「健康を大切にしなさい」と言われた。
高校生になってからは積極的にアルバイトを始め、「自分のやりたいことは自分のお金でやる!」という「両親をあてにしない」行動をとるように。大学生になると、両親に黙ってホームステイを決断。すべて決まってから事後報告すると両親は2人とも驚いていたが、「気をつけなよ」「どこへ行くか住所を紙に書いておいて」という言葉をかけられただけで、とがめられることはなかった。