いまでも差別意識は日本よりも深刻

夫が韓国人、妻が日本人の夫婦はこう話した。

道上尚史『韓国の変化 日本の選択 外交官が見た日韓のズレ』(ちくま新書)
道上尚史『韓国の変化 日本の選択 外交官が見た日韓のズレ』(ちくま新書)

「うちの子は、集団行動や勉強にうまく適応できなかったけれど、日本の小学校では先生の目が届いていた。一人ひとりケアしてくれた。韓国の小学校ではそんなケアはない。韓国の学校は、勉強のできる子のための場所だと感じた」

目に見える差別がずいぶん減ったと書いたが、水面下では、差別や格差、特権意識が色濃く残っている。どの国にもあるとはいえ、日本より深刻だ。日本通の年配の識者によれば、「日本の江戸時代の士農工商より、朝鮮時代の身分差別のほうが厳しかった」という。

儒教の影響がやはり大きい。先述の、80年代には日常的に見られた性別、職業、人種等による各種差別の根もそこにある。儒教によって出世意欲、向上心、勉強重視というドライブは日本より強く働くが、支配と差別と特権、剝奪感と怨嗟えんさという要素は日本より強いと思われる。それを軽減すべく努力もしているのだが。

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