大事なのは話す力ではなく聞く力
二つ目によく勘違いされていることは「話し上手=コミュニケーション力が高い」ということです。
そもそも、話し上手とは一体なんでしょうか?
・何気ない日常会話からトークを盛り上げることができる
・面白い、スベらない話ができる。ネタがたくさんある
・自社の商材を相手が理解しやすいように完璧な説明ができる
一般的な話上手とは、これらが挙げられると思います。
では、もしこれらができれば、営業する上で結果につながると言えるのでしょうか?
私はそうは思いません。
ここで改めてお伝えしますが、話し上手であることがダメだと言いたいわけではありません。
上記の3点は、それぞれ商談において武器になることは確かです。
では、なぜそれらの武器があっても営業で結果を出せるコミュニケーション力とはいえないのかというか、営業マンに必要な“真のコミュ力”とは「話す力」ではなく「聞く力」だからです。もっと言えば「察する力」だったりします。
お客さまが発した言葉からその裏側、真意を汲み取って、欲求や悩みを的確に読み取る力。それこそが、話す力よりも重要なのです。
いくら商品の魅力を上手に説明することができたとしても、そこにお客さまの購買意欲がはまっていなければ成約には至りません。ましてや、本当にほしいと思っている商品と、説明している商品が違っていたら、どれだけ熱心に説明してもお客さまの心には届かないでしょう。
つまりそれは、私が考える営業ではありません。ただの「説明員」です。
営業の本質はお客の真意を探ることにある
例えばこんなケースがあります。
不動産屋さんに物件を探しに行ったとしてみましょう。
どんな物件をお探しですか? 予算は? 間取りは? 駅から徒歩何分以内で? と、立て続けに質問をしてくるでしょう。
それに答えていって、その条件にぴったりの物件を提示するのは誰でもできます。
もはや人である必要すらありません。検索システムを利用すれば良いだけですから。そして、それが条件にいかに当てはまるかを説明するのも簡単でしょう。
お客さまにぴったりの条件の物件を提案できたとして、それが成約になったとしても、それはたまたま条件があったからであって、次回も必ずそのお客さまがいらしてくださるとは限りません。検索システムさえあれば、いいのですから。
それでは、営業マンではありません。
本当の営業とは、「購買心理に基づいて価値提供すること」です。
目の前にいるお客さまが自分でも気づいていないような不安や不満に気づかせてあげて、そこに自分たちの持っているサービスで最大の提示してあげる。これが営業の本質です。
そこで最も重要なことは、面白い話でトークを盛り上げることや、完璧な商品説明をすることではありません。
なぜこの予算なんですか? なぜそこに住みたいんですか? そもそも引っ越す理由は何ですか? と、聞き、お客さまの真意を探ること。
つまり、話す力ではなく聞く力が必要とされるのです。
お客さまがモノを買うのは、何か不安や不満を抱えているからです。そこを理解しないことには、お客さまが本当に喜んでくれるサービスは提供できません。
本当に喜んでいただくことができなければ、お客さまになっていただくことも難しいでしょうし、もし運よくそのときはお買い上げいただけたとしても、次にはつながらないでしょう。
だからこそ、「話す力」以前に「聞く力」をもっともっと磨いていくべきなのです。ぜひ覚えておいてください。