住宅購入は「人生最大の買い物」と言われる。その営業においては、顧客との信頼関係づくりが何より肝心だ。住宅営業のプロは、どんな話し方で信頼を得ているのか。大和ハウス工業のトップ営業(※)である、HS新宿第二展示場店長の酒井研人さんに、話を聞いた――。

※2021年度の注文住宅の契約棟数・受注金額において全国で1位

大和ハウス工業HS新宿第二展示場店長の酒井研人さん
撮影=今村拓馬
大和ハウス工業HS新宿第二展示場店長の酒井研人さん

展示場にいる時間は意外と短い

——酒井さんは、HS新宿第二展示場という大きな住宅展示場の店長さんでもいらっしゃいますが、ふだんはそこにお勤めなんですね。

いえ、実はそうでもないんです。私どもの仕事は火曜日と水曜日が定休日になっていまして、平日の月、木、金、週末の土、日に働いているのですけれども、私自身は展示場で「お客様がいついらっしゃるかな」と待ってるという状態はほとんどありません。展示場にいる時間は、本当にピンポイントで、お客様が来場しやすい週末のコアタイムだけ。11時から14時ぐらいの間です。

週末の他の時間は、東京本社やお客様のご自宅などで商談をさせていただくことが多くなっています。平日も東京本社で打ち合わせや会議などを行っております。最近はだいぶリモート会議が増えていますけれども、週の半分以上は東京本社で働いていますね。

「紹介されること」営業としての基盤

——展示場で待ちの営業をする以外、どういうアプローチの仕方があるのですか。

まずひとつは、社内からの紹介です。おかげ様で弊社は住宅業界で最大手と言われる中で、事業も多岐にわたっておりまして、いろいろな企業様とのお取引であるとか、ビジネスチャンスが本当に多くあります。そのため、東京本社で働いているスタッフが得る取引先様からの情報など、社内の人脈を使って貴重な情報を入手することができます。

——もう少し具体的には。

例えば、直近の例で言いますと、弊社の中に法人のお客様へ事業用建物の建設のご提案を差し上げる事業部があるのですが、そちらの部署の担当営業がご縁をいただいた法人の代表の方がご自宅を建てたいとなったならば、家づくりには特別なノウハウがやっぱりいるものですから、私の所属する住宅事業部でという話になるんです。そういったときに、そのご縁をいただいた営業担当が誰に相談をするか検討して、社内の人脈構築を長年、時間をかけてやってきた自分に声が掛かるということがあるわけです。

ただ、これは弊社において待ちの営業だとされるアプローチでして、もっと自ら能動的に動く営業のほうの話をさせていただくと、金融機関や不動産業者、オーナー様からのご紹介があります。その中でやっぱり私がこだわってるのはオーナー様からのご紹介ですね。一度、自分が家づくりをさせていただいたお客様のお知り合いとか、ご親族とか、そういったオーナー様がくださるご紹介情報が、自分の営業担当としての基盤になってる情報網のひとつです。