一流の捕手が配球で考えていること
「捕手はまず完全試合を狙い、ノーヒットノーランを狙い、完封を狙い、完投を狙う」
そうも言われるが、僕は意識しなかった。「継投・完全試合」を含め4度ノーヒットノーランを経験しているが、この4度とも終盤7回以降に「いけるんだったら狙いたい」と思った程度だ。
むしろ、「どこでヒットを打たせておこうか」と考える。
1回から切羽詰まった「絶対に討ち取ってやる」というような配球はしない。
どこかで餌をまきながら、ここぞという場面でその大事な配球をしなくてはならないからだ。いざというときのために取っておくのだ。
余談だが、山井の出身の奈良産業大学というと、同大学出身の湯舟敏郎さん(阪神)が1992年に広島を相手にノーヒットノーランを達成したのを思い出した。同大学の出身者にはほかにも、2017年に最優秀中継ぎ投手になった桑原謙太朗(横浜→オリックス→阪神)らがいる。プロ野球選手の人数こそ多くないが、ノーヒッターを2人も輩出している。