身近な人との関係を良好に保つにはどうすればいいか。産業カウンセラーの大野萌子さんは「相手に怒りを感じたときはまずは大きく息を吐いて深呼吸をしてほしい。そして不満や要望はできるだけ具体的に伝え、『デンジャラス・クエスチョン』は避けるべきだ」という――。
※本稿は、大野萌子『1ステップで気分があがる↑気持ちのきりかえ事典』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
いかに仲が良くてもすれ違いは起きてしまう
Case1:パートナーから文句を言われたとき
用意した料理を「味が薄いね」と言われた。「だったら自分で作れば?」といつもケンカになってしまう……。
用意した料理を「味が薄いね」と言われた。「だったら自分で作れば?」といつもケンカになってしまう……。
忙しい時間をぬってせっかく料理を用意したのに、「味が薄い」「量が少ないね」などと言われると、まるで自分が批判されたように感じてしまうもの。
「一生懸命作ったのに、どうしてそんなことを言うの!」と言い返したくなりますが、相手はあくまで文句を言っているつもりはなく、ただ感想を言っただけ……という可能性もあります。
少し前の時代では「手料理のほうがすぐれている」という風潮があったせいか、買ってきた総菜を夕食のテーブルに出すことに罪悪感を抱き、パートナーから「今日は総菜なんだ」と言われただけで文句を言われている気がしてイライラするとの意見もよく聞きます。
ここでぜひ覚えておいてほしいのが、「夫婦であっても他人同士」だということ。いかに仲が良くても、なにもかもわかり合えるわけではありません。感情的で瞬間的に発した何気ない一言を、相手がどんな気持ちで言っているのかはわかりません。それを探るためには、冷静な会話が必要でしょう。
怒りを鎮めるには「深呼吸」が効果的
なので、怒りを交えず、具体的に「ちょっと味が薄かった? じゃあ醤油をかけて、味を調整してくれる?」「今度はあなたが作った料理が食べてみたい」と、相手に提案してみましょう。感情を交えずに具体的な言葉を伝える分には、決してケンカにはならないはずです。
もし「そんなに冷静に話ができない」と思うようであれば、怒りを瞬間的に鎮めるための効果的な方法として深呼吸を実践してほしいです。弛緩のために大きく息を吐き出すことが大切です。
ただし、相手の前では避けてください。これみよがしな行動ととらえられ、さらなるトラブルに発展することもあるからです。