EU各国ではガソリン価格が高騰しているが…
【増田】ロシアによるウクライナ侵攻、そのロシアに対する経済制裁によって、先進国を中心にロシア産原油の取引停止や供給不安が高まり、原油の価格が高騰しています。日本でも2020年7月に1リットル当たり130円程度だったレギュラーガソリンの価格が、2022年7月25日には170.4円まで上がってしまいました。
企業や国民の生活に大きな影響を与えていますが、政府は有効な施策を打てていません。
私はこの6月末に、東欧のハンガリーやスロバキアを取材してきました。ハンガリーでは原油高に対してガソリン価格の上限を決め、5月26日に「一度に50リットルまで、1リットル当たり480フォリントで販売する」と宣言し、翌日から実行しました。480フォリントは、現在のレートで言うと大体160円くらいです。
EU(欧州連合)各国は税制の問題や脱炭素政策の推進などもあり、ガソリン価格はもともと高かったうえに、ウクライナ事態でさらに高騰しています。イギリスではレギュラーガソリンがリッター当たり300円を超えるまでになってしまっていると報じられています。
ハンガリーの車だけはガソリン価格が安くなる
【増田】原油価格上限が決められたことでハンガリーのガソリン価格が周囲の国々よりも安くなったため、他国からハンガリーにガソリンを入れに来る、あるいは安く買って自国で高く売ろうとする人々が出てくる可能性もありました。
ヨーロッパ諸国には、加盟国圏内を自由に行き来できるシェンゲン協定があり、ハンガリーも加盟していますから、放っておけば隣接する国々から、どんどんハンガリーにガソリンを求める客が殺到していまいます。そこで、この価格が適用されるのはハンガリーに登録されている車両のみと決め、ナンバープレートで見分けて対象外の車両に対しては、市場価格で売るという方法を取っています。
【池上】EUは統一のナンバープレートを使っていますが、EUのマークの横に「H」などとどの国の車両化を区別する記号がついているんですよね。だからプレートを見れば、どこの車両かすぐにわかるわけです。