「何が問題か」がわからないと、助けてあげられない

「なぜ?」を4〜5回繰り返す

でも、ここまでちゃんと「分解」と「絞る」を繰り返して、「なぜ問題が起きてるのか」っていうのがわからないと、助けてあげられないんです。

もし、途中でやめてたら、どうでしょう? 「Aさんは高額ニーズの顧客のところに行けていない」までで終わっていたら、「お金持ちのところ行って」って言ったらどうでしょうか? 解決したでしょうか? 

「リストをつくる時間がない」までで終わって、「リストつくってよ」って言って、リストをこの人はつくれたでしょうか?

「なぜリストをつくる時間がないのか?」というところまで理解して、Aさんに「明日、営業行かなくていいから。俺と一緒にリストをつくろう」って言わない限り、たぶん止まらないですよね、この状況って。「ズームインする」って、まさしくこういうことなんです。今私、何回くらい「なぜこんなこと起きてるんでしたっけ?」って言いましたか?

だいたい4〜5回くらいは「なんでこんなこと起きてるんでしたっけ?」って繰り返さないと、本質にたどり着かないと言われています。普通だと、2〜3回で終わることが多いですね。

はい、全体像はこんな感じですね。「なぜ?」を4回繰り返して考えています。少なくともこれくらいまで絞り込むのがポイントです。

ピラミッドストラクチャーが大事な理由

ロジカルシンキングやクリティカルシンキングの世界では、すべての課題の構造は「ピラミッドストラクチャー」だと言われています。

選択肢や理由などを分解していくとき、どれか1つを選ぶと、捨てた選択肢はもう検討しなくていい。これがピラミッドストラクチャーの最大のメリットです。

たとえばAさんの、原因は「面談件数×成約率×1成約当たりの単価」のように分解されました。調べると「1成約当たりの単価」が問題だということに絞り込めた。そうすると、もう「面談件数」と「成約率」の枝は掘らなくていい。もう「面談件数」はなぜ少ないのか? っていう情報収集をしなくていい。アポイントメントを取るトークスキルが低いのかな? とか、「捨てた枝」の情報収集をしなくてよくなるわけです。

佐々木裕子『実践型クリティカルシンキング 特装版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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次の「なぜ?」で「顧客の選び方が問題」ということがわかったら、そのほかの選択肢はそれ以上考えなくていい。無駄な情報収集をしなくてもいい。

Aさんも、闇雲にCさんの後ろについて回って学べ、みたいなことをしなくてもいいと。Cさんの後ろについて回ったところで、実はあんまり問題の解決にならない可能性が高いわけです。この状況の場合。でも直感的にはそれがいいんじゃないかと思ってしまう。

最初は限られた情報しかなくても、丁寧に分解して「ピラミッドストラクチャー」にする。

1段階ずつ調べて、1個ずつ大きな枝を切っていく。で、最後本質にたどり着くっていうのが、ズームインのポイントです。

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