「売り上げが他人の半分以下」の社員の業績を上向かせるにはどうしたらいいのか。ある社員の場合、営業回数は他人より多いのに一成約当たりの単価が低いことがわかった。では、その後はどんな手を打つべきか。戦略コンサルタントの佐々木裕子さんが講義形式で解決策を探っていく――。
※本稿は、佐々木裕子『実践型クリティカルシンキング 特装版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
年金営業マンのAさんはなぜパフォーマンスが悪いのか?
さて、では演習をしてもらおうと思います。「課題は何か?」というところに焦点を置いて考えてくださいね。
あなたは、ある年金営業所の所長です。部下のAさんの営業成績が思わしくないので、困っています。1営業月当たりの平均で、年金の成約額を比較してみると、AさんはBさんCさんに比べて、半分以下の売り上げです。Aさんは何が問題なのでしょうか? どうすれば、売り上げが上がるのでしょうか?
年金営業なので、高齢者とか、ひょっとすると企業などのオーナーもいるかもしれませんが、自宅にピンポーンってして保険とか年金とか売りに行く営業ですね。営業がうまくいけば成約です。1回成約してもらうと、けっこう大きい。そんな営業をしているメンバーを束ねている部長が、あなたです。
上司としては、成績のよくないAさんを何とかしたいなと思いますよね。
Aさんは、どうしてこんなことになっていると思いますか? 仮説でけっこうです。なぜでしょう? 何が起きているんでしょうか? 可能性を教えてください。はいどうぞ。
——Aさんは圧倒的にピンポンする回数が少ない。
なるほど、ピンポンする回数が少ない(笑)。訪問が少ないんですね。
——顧客研究にメッチャ時間かけて、訪問していない。けど、実は成約率的にはいいかもしれない。Cさんはとにかくスピード重視で、メッチャ訪問してる。