なぜ、いじめ問題はなくならないのか。NPO法人「プロテクトチルドレン」代表の森田志歩さんは6月23日、子ども政策を担当する野田聖子内閣府特命担当大臣に「いじめに対する全国児童対象アンケート」を届けた。森田さんは「いじめ防止対策推進法が成立して9年が経つが、子どもの実態に合った運用が行われていない」と訴える――。(前編/全2回)
野田聖子大臣と森田志歩さん(右)
写真=筆者提供
野田聖子大臣と森田志歩さん(右)

いじめ防止対策推進法について子どもはどう思っているのか

6月23日、子ども政策担当の野田聖子内閣府特命大臣に面会し、プロテクトチルドレンで行った「いじめに対する全国児童対象アンケート」の結果を届けてきました。

このアンケートは今年の1月から2月にかけて実施したもので、回答を依頼したのは小中高合わせて2万9812名の子どもたち。学校、教育委員会が協力してくださり、授業時間などを使って小学生9133名、中学生1万1478名、高校生6041名、合計で2万6652名が手書きで回答してくれました。匿名のアンケートになっているので、子どもの偽らない本音が拾えたと自負しています。

なぜ、このような調査を実施したかといえば、平成25年に「いじめ防止対策推進法」が施行されたにもかかわらず、いじめによって心に深い傷を負ってしまう子や、自ら命を断ってしまう子が後を絶たないからです。

こうした現実を見るにつけ、私は、子どもたちはいじめ防止対策推進法によって本当に守られているのだろうかという疑問を抱いてきました。しかし、いくつものいじめ事案に介入してみても、どこもかしこも「大人同士の言い合いの場」と化していて、子どもの本音に触れられることはほとんどないのです。

子どもたちのためにという触れ込みで作った法律ならば、それを、当事者である子どもたちがどう捉えているのか、もしも不備があると感じているなら、いったいどこに感じているのか、きちんと把握するべきではないか……。私がアンケートを実施するに至った理由です。

子どもアンケートは全部で10問で構成されていますが、私自身、予想もしていなかった回答がありました。

すべての設問と回答を掲載する紙幅はありませんが、重要なものだけを抜粋してご紹介してみたいと思います。