子供のいじめを早期に解決するにはどうすればいいのか。NPO法人「プロテクトチルドレン」代表の森田志歩さんは「親は学校側にいじめ問題の調査を求めることが多いが、法律の定義と当事者の認識にズレがあるため、すれ違いが起きやすい。すれ違いを放置したままでは、いじめ問題は解決しない」という――。(第3回)
柔らかい日差しが入る無人の教室
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

いじめ報道ではわからない「すれ違い」の実態

前回は、学校や教育委員会がいじめを認めることに対して消極的であることについて、アンケート結果を踏まえて、根本的な原因はどこにあるかを紹介しました。

その中には、いじめ問題の解決に取り組んできた者として「さもありなん」と感じる回答がいくつかありました。

たとえば、「いじめ問題への対応が遅れるケースが多いが、原因はなんだと思うか?」という質問への答えとして最も多かったのが、「保護者との話し合いが難航し、関係がこじれてしまう」(43%)でした。これは、私の実感と非常に近い結果です。

そこで今回は、「なぜ保護者との話し合いが難航し、関係がこじれてしまうのか」という点にフォーカスをして、その原因を探ってみたいと思います。そこから見えてくるのは、いじめの報道からは決して知ることのできない、学校・教育委員会と保護者の「すれ違い」の実態です。

まずは、私が受けた膨大な数の相談の中から、学校・教育委員会と保護者との話し合いが難航してしまった典型的なケースをご紹介してみましょう。