同じ地域の人が情報交換をするソーシャルメディア化した
人参マーケットは単なるフリマアプリでは終わらず、地域ごとのソーシャルメディアとしての役割も果たすようになった。例えば、アプリ上に設けられた「町の生活」のタブには、その地域で起こった事件・事故から落とし物や趣味の話まで様々な書き込みがなされ、これを通じて同じ地域に住む人々が情報を交換することもできるのだ。さらにGPS機能を使って利用者の現在地を特定し、近くにあるスーパーやカフェ、さらには学習塾などの情報も教えてくれるし、アルバイトなどの求人情報も交換することができる。
ご多分に漏れず海外進出に熱心に取り組んでおり、現在、イギリス、日本、カナダ、アメリカの4カ国72地域を対象にグローバルバージョンのサービスを行っている。21年まで累積2270億ウォンに上る投資を誘致し、企業価値は3兆ウォンにまで上昇し、韓国の代表的なユニコーン企業としての地位を確立した。
「36週になりました。養子縁組の価格は20万ウォンです」
「人参マーケット」に行けば「売ってないものは無い」と言われ、実際に大きな人気を集めている。ただ、多種多様な人たちが交錯する場所なだけに、思わぬ犯罪に出くわすこともある。20年10月、人参マーケットには、「赤ちゃんを売ります」という書き込みが掲載され、騒然としたことがあった。
「36週になりました。養子縁組の価格は20万ウォン(約2万円)です」という説明文とともに、ピンク色の布団に包まれた幼児の写真が2枚添付されたこの書き込み。発見した利用者らが問題視してマーケット側に通報したものの、出品者は出品の取り下げも書き込みの削除も拒否。結局、マーケット側がこれを非公開とし、警察が乗り出す事態となった。警察の調べによると、書き込みをしたのは20代の未婚の女性で、精神的に追い詰められてこのような行動に走ったのだという。その後、この幼児は保護施設に預けられることになった。
その後も「1997年生まれの女性。身長166センチ。200万ウォンの契約金と月200万ウォンの報酬で私を売ります」という書き込みや「姉を売りたい」「障害者の身内を売りたい」など非常識な書き込みは後を絶えない。