「こんな面倒な書類を書くのは日本だけ」

PCR検査自体はとてもスムーズで、費用は47ユーロ(約6500円)。

翌日にはまずメールでクリニック発行の陰性証明が送られてきた。陰性だったが、それで喜んではいられない。問題は何よりも必要な「手書き」証明の内容だ。

クリニックで受け取ってその場で確認したら、検体採取と結果判明日の日時が逆に書かれていた。これは記入欄が時系列的に逆の順序なので、間違えられることは想定内だったがやっぱりと思った。

他にも名前が修正液で訂正してあったので、持参の赤ペンで間違いを添削し、書き直しを依頼。すぐにフォーマットを新しく印刷し書き直してくれたが、「こんな面倒な書類を書かないといけないのは日本だけよ」とあきれ気味に言われた。ごもっともな意見だ。

しかし不備があれば、下手したら入国できない可能性もあるのでこっちも必死だ。このように準備には非常に神経を使った。

入国アプリの審査完了画面
入国アプリの審査完了画面(筆者撮影)

ともあれ、やっとのことで正確な「手書き」証明書を入手でき、早速アプリにアップすると数分で審査完了、画面が緑色に変わった。一安心だが、万が一スマホに何かあった場合のことも考えて、各書類を数枚ずつ印刷もしておいた。

ギリシャ人の夫は、筆者がデジタルの入国アプリの手続きをしているのに、フォーマットをプリントアウトしたかと思えば、手書きで書かれたものをスキャンしてアップしたり、それをまた印刷したりしているのを見て、「信じられない」と言いたげな表情を浮かべていた。

ちなみにアテネ国際空港でも市内の医療機関より金額は高めだが、PCR検査(要予約)ができる。数時間で陰性証明が入手できるが、利用した人によると、厚労省が定める必要項目全てはカバーされていない。よって受付の際、「手書き」証明も別途依頼しなければならなかったという。紙での出力が必要なことには変わらない。

空港で5時間留め置かれた

これで準備万端なはずではある。が、今年3月にアメリカから帰国した知人の話を聞くにつれ、不安もあった。

せっかく苦労してアプリに事前登録しているにもかかわらず、空港で優先レーンなどはなく、紙の書類だけの人たちと一緒に長い列に並び、更に検査判明まで5時間も空港で留め置かれたと聞いていたからだ。

ワクチン証明と陰性証明があるのにもかかわらず、入国時にまたコロナ検査があるのも度を超していると思う。

5月下旬、日本政府は水際対策を見直すと発表。各国・地域を「青」「黄」「赤」の3つの区分に分け、滞在国がどの色の区分に該当するか、3回目ワクチン接種証明書を保持しているかによるが、条件を満たせば6月1日から、入国時の空港での検査がなくなった。

6月1日はちょうど筆者の入国日で、ギリシャは「青」に指定されていたので、3回目ワクチン接種証明書の有無にかかわらず、検査はなし。「黄」でも、指定ワクチンを3回接種していれば検査、隔離は免除だ。

フライト予約時、それは未発表だったので、検査結果待ちは覚悟していたのだが、検査なしとなり、数時間、空港に足止めされる必要がなくなり、気分が楽になった。