慢性頭痛に悩まされている日本人は、約3000万人。その慢性頭痛の代表は「片頭痛」「群発頭痛」「緊張型頭痛」の3つ。今回は慢性頭痛の70%を占め、患者数約2100万人の緊張型頭痛をとりあげる。

緊張型頭痛は身体的、精神的ストレスが引き起こす。代表的な痛みは孫悟空にたとえられる。孫悟空は頭に「緊箍児(きんこじ)」というたがをはめられ、悪さをしでかすと三蔵法師の呪文で緊箍児が締まり、頭が痛む。

患者が自分の頭痛の程度を医師に説明するときには、孫悟空にたとえる人が多いという。あとは、「重い石を頭に乗せられたような感じ」と。基本的には肩こりを伴うケースが多く、痛みがだらだらと続くのが特徴である。

身体的ストレスでは、筋肉がこり固まると血管が圧迫され、血流が悪くなる。

一方、精神的ストレスでは体が興奮気味になり、自律神経の中の交感神経が支配するため、血管が収縮して血流が悪くなる。

そして、どちらも頭痛に結びつき、その頭痛自体もストレスになる。すると、ますます頭の周囲の筋肉の血流が悪くなり、だらだらと頭痛が続くことになる。

緊張型頭痛はストレス、筋収縮、頭痛のトライアングルとなり、これがグルグル回転し、まさに“悪の頭痛サイクル”にはまってしまうのである。

身体的ストレスに関係するのは、まずは身体の構造上の問題。人間の頭は4キロと重いので、首が細くて長いタイプの人が頭痛に悩まされやすい。

次が姿勢。前かがみや猫背など、姿勢の悪い人は僧帽筋に無理な力が加わる。

このほか、枕の高さが合っていない人、首に疾患のある人、メガネが合っていない人、顎関節症のある人は、それらの原因を解消するのが基本的治療となる。

精神的ストレスとの関係がより強いことがわかっているときは、心療内科や精神神経科で抗不安薬が処方される。

また、うつ状態の人も頭痛をよく訴える。この場合は軽い抗うつ薬が使われる。

自分自身でできる緊張型頭痛対策としては、次のようなことを行うと改善に向かうはず。

・同じ姿勢を長く続けず、パソコンなどは30分続けたら、必ず10分は休む。
  ・ホットパッドで、肩や首の血流を改善する。
  ・全身のマッサージも効果がある。
  ・ストレッチ体操、散歩、ジョギングのほか、週に1回は水泳をするのもよい。
  ・ぬるめのお風呂で疲れをほぐす。
  ・枕の高さを調整する。
  ・7時間は睡眠をとる。

食生活のワンポイント

緊張型頭痛と片頭痛が混ざった「混合型頭痛」もあるので、どのような頭痛なのか、これを神経内科、脳神経外科にある「頭痛外来」を受診し、正しい診断を受ける。

そのうえで、緊張型頭痛であれば、前述の運動などを行う。さらに食事面を注意するとある程度は改善するはずである。

(1)適度にアルコールを楽しもう!
お酒が飲める人は、仕事が終わったらビールなら大ビン1本、日本酒なら1合程度を楽しむ。これが体に爽快感を与え、最も体がリラックスする量である。

(2)タバコはやめよう!
タバコは血管を収縮させたり、コレステロールの血管への付着を促進させるので、より緊張型頭痛を起こしやすい。禁煙を――。

(3)魚中心の食事に!
青背の魚にはDHAやEPAが多く含まれ、血液をサラサラにするので頭痛予防にも結びつく。

(4)野菜・海藻・きのこを充分に摂ろう!
野菜では玉ネギ、トマト、ナス、ホウレン草、ラッキョウ、ブロッコリーなど、海藻はワカメ、メカブ、コンブ、ノリなど、きのこはシイタケ、シメジなどを摂ることで血液をサラサラに――。