階級間の分断は、さらに拡大する
パンデミックを経験した今、グローバル経済はダボスマンの欲望にいっそう尽くそうとしているようだ。公的資金による緊急支援策が縮小されれば、預貯金が目減りして苦境に追い詰められた労働者の中には、搾取の餌食にされやすい仕事でも喜んで働こうとする人々が出る。人種間、あるいは階級間の分断は、さらに拡大するだろう。
米国やヨーロッパでは、ダボスマンによって中小企業はますます不利な立場に追い込まれており、その多くが消滅するだろう。巨人たちによって支配される将来の経済は、株主たちにはうまみがいっそう増し、労働者たちにはより厳しいものになりかねない。
発展途上諸国では医療ケアが不足し、安全な水など基本的な生活条件へのアクセスを欠いた人々がさらに置いてきぼりにされる可能性がある。10億人が2030年までに極端な貧困へと陥るリスクにさらされている。
こうした経済的苦境や格差、欠乏状況を道具として憎しみをあおり立て、少数民族や宗教的少数派への恐怖をたきつけて支持を拡大する政党にとっては、チャンスとなる。
しかし、いずれの状況も必然ではない。過去のさまざまな危機と同様に、コロナ禍は一般大衆がより幅広い利益の下で連帯していく道も指し示している。
現代社会は岐路にさしかかっている。格差による負の影響があまりに致命的になったため、世界経済の構造的欠陥に関して審判がついに下されるような道筋も、この先にあるかもしれない。