全国18カ所にゴルフ場を展開する太平洋クラブは、2012年に経営破綻。その後、スポンサーとなった遊技業界大手のマルハンによって「名門ゴルフ場」として復活した。他のゴルフ場とどんなところが違うのか。『名門再生 太平洋クラブ物語』(プレジデント社)を出したノンフィクション作家の野地秩嘉さんが書く――。(第4回/全4回)
インタビューに答える太平洋クラブの韓俊社長
写真提供=太平洋クラブ
インタビューに答える太平洋クラブの韓俊社長

日本のゴルフ場の多さは世界有数

日本のゴルフ場の数は世界で3番目だ。以下はR&A(全英ゴルフ協会Royal and Ancient Golf Club of Saint Andrews)が発表した世界のゴルフ場数は次の通りとなっている。数字は2019年のものである。

1 アメリカ合衆国 1万4640
2 カナダ 2265
3 日本 2227
4 イングランド 1936
5 オーストラリア 1532

国土面積を考えれば日本のゴルフ場の数はかなり多いと言える。

2227コースのなかで、名門と呼ばれるコースはせいぜい50カ所といったところではないか。

そういった名門ゴルフクラブでプレーをするのは極上の気分だ。なんといってもコースは素晴らしいし、メンテナンスもよく、キャディサービスも最高だ。ただし、プレーをするには紹介者、もしくは同伴者が必要だ。服装にも気を遣う。Tシャツなど襟のないシャツはダメ。スカル(骸骨)模様の入ったウエアなどを着ることもできない。クラブハウスやコースではスマホを使ってはいけない。通話する場所は限られている。マナーの良い紳士淑女が集まるところが名門ゴルフクラブである。

他社とは一風変わった太平洋クラブの特徴

入会するのだって簡単ではない。複数の紹介者が必要だし、資格審査がある。何よりも入会金は決して安くはない。80歳を超えていても、「入会したい」という人がいるのが、名門中の名門ゴルフクラブだ。

一方、再生した太平洋クラブは、新しい形の名門クラブといえる。

入会に際して資格審査はあるけれど、国籍条項はない。どこの国の人間でも太平洋クラブに入ることができる。ウエアに対しても比較的自由だ。ただし、スマホを使う時でも、服装でも、それなりのマナーを守ることは必要だ。

そして、わたしが太平洋クラブを新しい形の名門クラブだと思う理由のひとつに海外の名門ゴルフクラブと提携していることが挙げられる。コロナ禍が一服し、海外へ出かける人も増えていくだろう。ゴルフが好きな人にとっては旅先の名門ゴルフクラブでプレーすることもまた楽しみのひとつだ。