アメリカがアフガンに提供した大量の武器が、アルカイダの手に渡った
アフガニスタンが現在のようなありさまになったのも、80年代にアメリカが大量に兵器を送ったことがきっかけでした。携行式の地対空ミサイル「スティンガー」が有名になったのは、侵攻してきたソ連軍と戦うムジャヒディンにアメリカが大量に提供し、武装ヘリを次々と撃墜したからです。
ソ連の撤退後、その一部はアルカイダなどイスラム主義武装勢力の手に渡りました。同じことが、この戦争のあとのウクライナで起こる恐れがあります。
すでに、国際刑事警察機構(インターポール)が動き始めました。6月2日のAFPは、こう伝えています。
国際刑事警察機構(インターポール、ICPO)のユルゲン・ストック事務総長は1日、ウクライナに供与される武器の一部が紛争終結後、欧州をはじめとする世界の犯罪組織の手に渡る恐れがあるとし、武器追跡データベースを活用した監視に着手するよう加盟各国に呼び掛けた。
「こうしている間にも犯罪者はすでに(ウクライナに供与された武器に)目を付けている」
ストック氏は「重火器ですら闇市場に出回るようになるだろう」と警告。「われわれには武器に関する情報を共有するデータベースがある。いずれの国・地域も単独では対処できないため、それを活用するよう加盟国に促しているところだ」と述べた。
前述した読売の記事(6月20日)には、こんなくだりもありました。
キール研究所が公開情報を分析したところ、ウクライナに実際に届いた米国の兵器・弾薬は、約束した分の48%(金額ベース)にすぎず、ドイツはさらに低い35%だった。37カ国全体でも69%にとどまるという。
また、ウクライナ政府に対する財政支援は総額309億ユーロが約束されたものの、支払われたのは2割弱だった。
また、ウクライナ政府に対する財政支援は総額309億ユーロが約束されたものの、支払われたのは2割弱だった。
送ると言った武器をドイツがなかなか送らないのも、ウクライナとロシアの双方から拒否されたとはいえイタリアが停戦案を作ったのも、支援に慎重な姿勢の表れです。ウクライナへの武器供与は、いずれ世界の治安に跳ね返ってきます。海を隔てているアメリカやイギリスはまだしも、国が陸続きのドイツやフランスにとってひとごとではないため、温度差が生じるのです。