ロシア本土とクリミア半島をつなぐ全長19キロ
日本のメディアはあまり話題にしていないのですが、ロシアとウクライナの戦争が「第3次世界大戦」となる瀬戸際に差し掛かっています。とりわけ私が注目しているのは「クリミア大橋爆破計画」と「リトアニアの国境封鎖」の帰趨です。
クリミア大橋は、2014年にクリミア半島を併合したあと、ロシアが造りました。ロシアのクラスノダール地方にあるタマン半島とクリミア半島東端のケルチという町の間に架かっています。全長およそ19キロメートルに及ぶ、鉄道と道路の併用橋です。2015年5月に工事が始まり、道路は18年5月に、鉄道は19年12月に完成しました。これによって、ロシア本土とクリミア半島が陸路でつながりました。工費は37億ドルといわれます。
開通の式典には、プーチン大統領も出席。大型トラックのハンドルを自ら握って車列を先導し、ロシア側からクリミア半島へ渡るパフォーマンスを演じました。
クリミア大橋を破壊して補給路を断つ作戦
ウクライナへの侵攻が始まったあと、この橋がロシア軍の物資の輸送に使われているので破壊すべきだという意見が、ウクライナ側から出ています。クリミア大橋を破壊すれば、ロシアの黒海艦隊が母港としているセヴァストポリへの陸からの補給路を断つことができるからです。
5月9日の朝日新聞デジタルは、次のように報じました。
〈「必ず破壊される。問題は、それがいつになるかということだ」。ウクライナのニュースサイト「チャンネル24」(8日付)によると、ウクライナのアンドルーシウ内相顧問はこう言ってクリミア橋を将来的に攻撃する可能性に触れた。現状では遠距離から攻撃できる有効な武器がないとして、攻撃するには橋の沿岸に近づく必要があるとの課題も指摘した。〉
〈ウクライナのダニロフ国家安全保障国防会議書記も4月下旬、橋の破壊について「機会があれば、間違いなくやるだろう」とラジオ番組で述べている。〉
〈ロシアはウクライナ側の発言に強く反発している。ロシアの有力紙「ベドモスチ」によると、大統領府のペスコフ報道官はダニロフ氏の発言について、「テロ行為の可能性を発表したことにほかならない」と批判。政府の安全保障会議で副議長を務めるメドベージェフ前首相も、ダニロフ氏について「彼自身が報復の標的になることを理解してくれるよう願っている」とSNSに書き込み、ウクライナ側を強く牽制した。〉