職場の士気を上げるにはどうすればいいのか。経営コンサルタントの松岡保昌さんは「部下を信頼せずにすべてを決めるのも、反対にすべてを丸投げするのもダメ。重要なのは部下としっかり対話すること。対話がなければ、部下のやる気を引き出すことはできない」という――。

※本稿は、松岡保昌『こうして社員は、やる気を失っていく』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

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部下に考えるスキを与えない過保護上司

長年上司が担当していた営業先を引き継ぎ、はじめて販売促進のイベントのチーフを任されたAさん。最高のチームをつくりたいと意気込んでいた。そこで、上司との打ち合わせをしたときのこと。

上司「これ、過去のこの会社のイベントに関わる資料一式そろえておいたから。初のチーフ、期待しているよ」
Aさん「ありがとうございます!」
上司「ちなみに、今回のチームのメンバーはBさんとCさんで。もう本人たちには伝えてあるし、みんな乗り気だったから、チーフとしてもやりやすいだろう。協力会社は、こことここには話を通してある。これらの会社はよくわかっているところだから、任せておけば安心だ。まずは、ここに連絡をとって進めていけばいい。もし何かわからないことがあったら、いつでも相談してくれ。どうすればいいか教えるから」
Aさん「はい……」

部下の仕事がしやすいようにと、つい手を出しすぎてしまう上司がいます。失敗しないようにと、事細かに手順書を準備して、「このとおりにやれば大丈夫だから」と部下に考えるスキを与えない上司もいます。それがじつは、部下のやる気を下げていることに気づいていません。