EUはロシア産原油輸入の3分の2を止める

5月30、31日の日程で開かれている欧州連合(EU)首脳会議は、ロシア産原油輸入の3分の2以上を止める対ロシア制裁第6弾で合意した。プーチン氏がEU内に仕組んだ「トロイの木馬」と化した感があるハンガリーの反対で、当面はパイプラインでの原油輸入は一時的に除外するという妥協案となった。

シャルル・ミシェルEU大統領(首脳会議の常任議長)によると、EU首脳はロシア最大の銀行であるスベルバンクと、プーチン氏のプロパガンダマシーンである国営放送3局を標的とした厳しい措置にも合意した。プーチン氏のウクライナ戦争を支える「巨大な資金源」を断ち切るとミシェル氏は語った。

ドイツとポーランドは年末までに自発的にパイプラインによるロシア産原油輸入を停止する方針を打ち出しているため、EUの行政執行機関である欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は「EU全体で年末までに事実上、ロシア産原油のうち約90%の輸入が停止されるだろう」との見通しを語った。

筆者は5月28日からポーランドのクラクフやルブリンでウクライナの戦火を逃れてきた難民の大型宿泊施設や支援物資のロジスティクス拠点を訪れている。停戦や負傷者の回復、帰国、復興までの気の遠くなるような長い道のりを考えると、中長期的な支援は欠かせない。プーチン氏の非道な戦争を絶対に許してはならない。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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