秋篠宮さまという良い上司がいても「退職」を選択
ところで、『秋篠宮』(江森敬治著)が話題だ。37回のインタビューから、秋篠宮さまの本音や苦悩が見える本だが、秋篠宮さまがジェンダー問題にとても理解ある男性だということも教えてくれる。例えば皇嗣になって侍従、女官という男女別の職種をやめ、宮務官に統一し、江森氏には「これからは、女性の皇嗣職大夫や女性の宮務官長も十分にありえます」と語ったそうだ。
「職場」としての皇室で、眞子さんの直属の上司は秋篠宮さまだ。働きやすい上司だったと想像する。それでも、眞子さんが「退職」を志向したのは、組織の構造そのものが問題だからだ。男系男子でつなぐ。それが皇室の核心である以上、女性はあくまでも「男子でない」存在だ。結果、嫁いできた人は「出産」が一番の仕事となるし、そこで生まれた人には「結婚退職」しか決まりがない。これではどんなに良い上司がいたとしても、あまりに働きがいがない。
というわけで、仮に佳子さまが「考えを正すべき」だったとしても、それを妨げているのは秋篠宮さまではなく、組織そのものだということはわかっていただけたと思う。最後に佳子さまのこれからのことを、少し書く。
佳子さま、愛子さまが働きやすい環境を
佳子さまも姉のように、皇室を出たいと考えている。週刊新潮も書いていたが、そういう見立ては十分可能だと思う。退職の規定しかない職場からの「転職」を考えるのは、普通のことだからだ。が、転職するには「結婚」しか方法がない。しかも「結婚」がどんなに困難か、佳子さまは姉の様子を間近に見ている。なんというしんどさだろう。
そして、皇室には愛子さまもいる。2021年に20歳になり、この4月には大学3年になったが、儀式以外の公務はせず、「学業中心」という方針だという。天皇陛下と雅子さまの考えもあってのことで、それには雅子さまが皇太子妃時代、「適応障害」という病から公務が困難だった時期があったことも関係しているのではないかと想像している。
どんな人でも、仕事は楽しい方がいい。そして、人生はハッピーな方がいい。佳子さま、そして愛子さまのためにも、皇位継承資格の議論は避けて通れないと思う。