40歳を過ぎた男性は、なぜ働くモチベーションが低くなってしまうのか。パーソル総合研究所の小林祐児さんは「私は『4つのない』を指摘している。『働かない』『帰らない』『話さない』『変われない』という4つは、それぞれが関連しあいながら、日本の男性中高年が抱えている切実な問題系を形作っている」という――。
※本稿は、小林祐児『早期退職時代のサバイバル術』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
「働かないおじさん」の本当の意味
本稿で論じていくのは、中高年の4つの「ない」、「4ない」問題です。その4つとは、「働かない」「帰らない」「話さない」「変われない」。これらが多くの中高年を不幸にしていますし、ひいては社会・経済全体に大きな負の影響を与えています。
働く男性は、なぜ40歳を過ぎたころ、働くモチベーションが低くなってしまうのでしょうか。なぜ、家に帰ろうとしないのでしょうか。なぜ、人に相談しなくなってしまうのでしょうか。
そして、なぜ、課題が指摘されているにもかかわらず、変わることができないのでしょうか。
この「働かない」「帰らない」「話さない」「変われない」という4つは、それぞれが関連しあいながら、日本の男性中高年が抱えている切実な問題系を形作っています。この問題系を丁寧に解きほぐしていくのが本稿のメインテーマです。
4つの問題について、一つずつ、もう少し噛み砕いていきましょう。
「働かない」――中高年層に対するこの言葉は、「働かないおじさん」としてしばしば書籍やメディアに登場します。やや差別的にも響きかねない言い回しですので、もう少し正確に言う必要があります。