マーケッターの眼

流行のサイクルが短い外食産業。移り気な消費者の嗜好に対応するために「業態開発」を専門にする企業が躍進。

居酒屋部門は和民と白木屋の二強である。レーダーチャートも、「おいしさ」で和民が優勢であること以外、ほぼ同じような評価だった。しかし、二強とはいえ安泰ではない。両社を選んだ人で、ここ1年以内に実際に利用した人の割合は半数以下。近所にこれらのチェーンがないとき、「電車やバスに乗ってでも行く」と答えたロイヤルティの高い人は、どちらも1割に満たなかった。

3~6位には老舗チェーンが知名度を生かしてランクインしたが、傾向は同じだ。昔はよく利用したがいまは居酒屋自体にほとんど行かない消費者が多いのだろう。

私の注目ブランド→ダイヤモンドダイニング

居酒屋業界で、いまもっとも勢いのある企業の一つがダイヤモンドダイニングだ。同社は店舗ごとに店名や業態を変える個店主義をとっている。今回の調査では対象外だったようだが、店舗数累計が132に達するまで成長を遂げている。

店舗数が累計なのは、スクラップ&ビルドで次々に業態を開発するスタイルだから。外食産業は流行のサイクルが短い。移り気な消費者の嗜好に対応するには、一つのブランドにこだわらず、同社のように業態のスクラップ&ビルドで対応する戦略が適している。