オウム元幹部が移送されてから雰囲気はガラッと変わった

井上元死刑囚が新実元死刑囚とともに大阪拘置所へ移送されて以来、所内の雰囲気は「ガラッと変わった」という。執行に向けて緊張感が高まり、通常約3カ月ごとに収容者に房を移動させる「定期転房」も、元幹部の2人には行われなかったことから、岡本元死刑囚は「執行が近い」と確信したという。

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また、所内での井上元死刑囚は「職員の指示に素直に従い、真面目でおとなしく、とても良い男だった」と記している。「居室で文机の上にA3サイズの曼荼羅まんだらの絵を置き、それに向って座禅を組んでいた。その彼の姿が私の目に焼きついている」

「面会もあったようで、私の居室前を通り過ぎる姿を何度か見かけた。服は私服を着ており、全体的に清潔で、見る人に好感を与えていた。そんな井上君と所内で同じ空気を吸い、同じ食事を摂ってきた私だからこそ言えるのだが、彼は深く反省し、懺悔ざんげしていたように思う」

岡本元死刑囚は手紙の中で、井上元死刑囚への執行を強く批判していた。その岡本元死刑囚は同じ年の12月27日、大阪拘置所で死刑が執行されている。井上元死刑囚の執行から半年余りで、同じ刑場の露と消えたのだった。

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