得意不得意もつながりも可視化させる人事管理システム

会社というのは段階に応じて必要な人材も変わるし、マネジメントの情報も変わります。ブシロードが10人しかいなかった頃は、よく全員で一緒にお昼を食べていました。10人くらいだと野球のチームみたいなものです。

そのブシロードも今では600人以上の従業員数になって全員の名前を覚えるのでさえ大変ですし、すでにあきらめています。それぞれの得意不得意については人事管理システムに任せています。

今使っているシステムはとても便利です。社員の名前を入力すると、入社日や履歴書、適性などのデータが一覧として表示される。その人が以前どこの部署にいて、誰と一緒だったかまでわかる。つまり、社員同士のつながりがわかるのです。

人事はこのようなデータや個人の意見を考慮しながら適材適所と思われる部署に社員を配置します。履歴書などは普通は一度会社に入ってしまえばその後は見ないものですが、人事システムでそういったデータも瞬時に見ることができる。

たとえばグッズを作っているチームにいる人が、実は簿記一級を持っていたりする。何かをふと任せたいなと思ったときに、そういった情報があるのとないのとでは違ってきます。

システムを使いデータを利用することで、人間だけでは実質管理不可能な部分まで参考にして、人事を考慮できるようになりました。

私は会社の中で、一番公平に会社を見ていると自負しています。会社にとって何が一番大切かという部分は、オーナー目線でなければ見えません。この会社にずっと存続してほしい、企業価値が増大してほしいと考えているのですから、常にその視点で物事を見ます。

年功序列が通じるのは全体が伸びている時代だけ

エンタメというのは水商売ですから、成果主義になじまない部分もあります。成果の測り方が難しい。社員からは「評価基準を明確にほしい」という意見も出ますが、あまり数字だけで判断するのもよくありません。

今でも年功序列で役職に就ける企業はまれにあったりします。完全に年功序列の会社では部下が上司にゴマをすらないそうです。ゴマをする意味がないからですね。そこはいいと思うのですが、それ以外は今の時代にはそぐわないでしょう。

横ばいの組織なら確かに年功序列でもいいかもしれませんが、いずれ優秀な人が辞めて入ってこなくなります。そうすると業績が落ちてしまいます。

年功序列が通じるのは全体が伸びている時代だけです。昔は日本経済全体が伸びていたからそれができました。全体が好調であれば、放っていても順調に会社の業績も伸びていきます。しかし、下り坂になってくると成果主義にならざるを得ない。そこに年功をどの程度加味するかは考えどころです。

ブシロードには年功序列はほぼありません。フラット化の時代に対応すべく、社歴はある程度考慮しますが、チームリーダーは年齢や職級関係なしに適材適所で決まっていきます。成長組織はそうしないと伸びませんし、これからの時代は生き残れないという気がしています。