日本最大のプロレス団体「新日本プロレス」は、かつて低迷していた。しかし2012年にブシロードの傘下となり、経営はV字回復。売上高は過去最高を更新するようになった。ブシロードの木谷高明会長は「年功序列が通じるのは全体が伸びている時代だけ。これからの組織はフラット化させるべきだ」という――。

※本稿は、木谷高明『すべてのジャンルはマニアが潰す 〜会社を2度上場させた規格外の哲学〜』(ホビージャパン)の一部を再編集したものです。

ジグソーパズルでピラミッド形に表現した人事管理とリーダーシップの概念
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センスは経験を重ねれば勝手に育ってくる

人を雇用するとき、会社は「センス」と「パッション」(やる気)なら、センスを重要視しがちです。皆、パッションは気持ち次第でどうにでもなると考えている節がある。でもこれは間違いです。実際、私も5年ほど前まで勘違いしていました。実はパッションのほうが持って生まれた才能なんです。そして、センスは経験で成長します。

年齢を重ねて、経験を積んできた人は自ずとセンスがアップします。つまり経験を積みさえすればセンスは誰でも上がっていきます。しかしパッションは、下がることはあっても、上がることはほとんどありません。センスが上がって、パッションが低いままの人はどうなるかというと、せっかく貯め込んだセンスと知識をクリエイティブに活かせず、評論家になっていく。これが一番よくない。頭でっかちで、新しいことを常に否定する面倒な存在になってしまいがちです。