「面白いこと」を追求するのは自分と周りを巻き込む力になる

常に「面白さ」を最優先することを心がけてほしいと、社員にはことあるごとに言っています。これまで私自身が「面白さ」を第一に考えて生きてきました。面白いことは自分と周りを巻き込む力になると、常日頃から思っています。

33歳で山一證券を辞めて最初の起業をしたときも、「会社を辞めたいから始める」のではなく、まず、「面白そうだからやりたい」が先にありました。その後も、ブシロード設立後のさまざまなことも、常に「面白い」を優先してきたからこそ今があります。

だから社員にも一番に求めるのは面白いかどうかです。常に面白い人生を歩んでいたら、その「面白さ」は周りにきっと伝わるはずです。面白くないクリエイターやリーダーには誰もついてきません。さらに詳しく言うと、「面白い」と「楽しい」は似ているようでまったく違います。

「楽しい」を追い求めると、苦労ができなくなります。文字通り「楽」な方向に流れるからです。経営者になればつらいことだらけ。「楽しい」を追求する人は、毎月給料がもらえるサラリーマンを辞めて、借金を背負ってまでして起業したりはしないでしょう。

「面白い」を追求していれば、話は違ってきます。休みもろくに取れず、月々の支払いに首が回らないような状況でも「大ピンチ! でもこんな体験めったにできないぞ」と苦労ですら心のどこかで前向きにとらえることができます。

前向きな退職者とはその後も協力的な関係を築ける

ただ、そうやって「面白さ」を追い求めて生きていると、新しく面白いことができたとき、それが社外でしかできない場合がある。そうすると会社を辞める人も出てきます。私もそうでした。

そういった場合は、気にせず前向きに辞めるべきです。そうすると、会社としても、自然に循環ができていく。人がまったく辞めない組織はいい組織ではありません。ポテンシャルが高い人が辞めても、また新たな面白い人が必ず入ってきます。

オフィスで働く若者たち
写真=iStock.com/Yue
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いつでも「面白さ」を追求する人たちが集まる組織にすること。そう公言すると組織にへばりついていることが目的ではなく、常に楽しいこと、面白いことを求めている社員が増えるので組織の活性化にもつながります。年間、5%から10%の間ぐらいは人が入れ替わるのが理想です。新卒だけでも中途採用だけでもダメ。両方が同じくらいの人数が入ってきたほうがバランスがいい。

そういう社風になると、一度辞めた人がまた戻ってくるという選択肢も出てきます。面白いことを探して前向きに辞めたのなら、その人が移った会社との協力関係も生まれます。ただ業界によっては辞めた人の会社とあまり仲が良すぎるとそれはそれで角が立ったり、よく思わない人もいたりするので、そこは注意が必要です。

適度な付き合い方を保っていれば、後々、必ずプラスに働くはずです。

社風に「面白さ」を掲げるだけで、自然と面白い人材が集まる組織ができあがります。