本を読む人ほどいい仕事ができる

am/pmが買収されると聞いたとき、私の培ってきた経験に照らし合わせると、このままのストーリー展開でフィナーレを迎えるとは思えませんでした。米国人の契約に対する考え方、さらにはブランドに対する価値観などを勘案すると、店名の存続について灰色のままでは、最終合意まで辿り着けない。だから、「まだ諦めるのは早いぞ」と感じたわけです。

就任以来、私は「元気、勇気、夢」という言葉を掲げてきました。仕事とは厳しくて大変なもの。しかし、だからこそ楽しくやりたい。元気を出して自分から動けば楽しくなる。問題には勇気をもって真正面から当たる。そうすれば夢に繋がる――。平易な言葉ですが、借り物ではありません。私の過去の経験から自然と湧き出てきた言葉ですから、確信があります。

仕事に追いまくられる日々では、なかなか本を読む時間はもてないと思います。また手に取るとしても、仕事に直結するビジネス書になりがちでしょう。しかし咄嗟の判断を助けるという点で、小説を読むことは大きな助けになります。僕は本を読む人ほど、いい仕事ができると思うんですよ。

※すべて雑誌掲載当時

(小山唯史=構成 的野弘路=撮影)