大前 道州制の実現は私の長年の悲願です。その取っかかりとして一国二制度の導入を提唱している立場ですから、橋下市長の大応援団の1人として民主党や自民党の政治家たちには「千載一遇のチャンスだから、大阪都構想の足を引っ張らずに乗っかれ」と言っているんです。

橋下 徹大阪市長。1969年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、大阪弁護士会に弁護士登録。98年「橋下綜合法律事務所」を設立。TV番組などに出演して有名に。2008年大阪府知事に就任し、3年9カ月務める。11年12月から大阪市長に就任し、現職。

橋下 ありがとうございます。

大前 抵抗するより、乗っかって自分たちの功績にもなったほうがいいかなという雰囲気の大臣もいる。一緒にやろうという人を超党派で集めれば、うまくいくと思いますよ。

橋下 大前先生にはいつもそうやってエールを送っていただいて恐縮ですが、言っても僕は大阪市役所の“所長”にしかすぎません(笑)。そこをわきまえておかないとしっぺ返しを食らいますから。国全体の統治機構の話は、国会議員の皆さんにお任せして、大阪の統治機構をいじることで、統治機構を変えるということが具体的にどういうことなのかを示すところまでが、僕の仕事だと思っているんです。

大前 『最強国家ニッポンの設計図』(小学館 2009年)という本を上梓したときに、国民・生活者のための国家レベルのシンクタンクとして「ザ・ブレイン・ジャパン(TBJ)」という組織を立ち上げることを提言しました。

これは日本の長期的な課題に対する抜本的な解決策を見出すことを目的とした組織ですが、政治や行政と一線を画して中立的な仕事をする“国家的なシンクタンク”として発足させたいと考えています。