橋下 その本も読ませていただきました。
大前 TBJに加わりたいという志のある人たちがすでに数千人応募していて、そういう人たちも入れると、政治家や役人、それぞれの地方自治体にも同じ思いを持つ人が結構いるはずです。是非大阪の人たちにも入ってもらって、力を一つに結集できたらいい。
私は2011年、福島原発の事故調査と再発防止に取り組んで10月には細野豪志原発担当大臣に報告し、その報告書をユーチューブにアップしました。この作業をしているときに痛感したのは、結局一人でやったほうが手っ取り早いということ。相当根気と情熱が必要な作業ですから、トロトロ皆で集まって議論していたら、絶対にまとまらない。各政党が推薦した委員で構成された国会の事故調査・検証委員会(事故調)は、下手すれば空中分解すると思います。
大阪都構想や道州制も、橋下市長を抱きこんで自分たちの功績にしようという政党の思惑に組み込まれてしまうと、インパクトがだんだん薄まってくる。委員会なんかつくったらまず甲論乙駁で得体の知れないものしか出てこない。リーダーは1人のアドバイザーがいればおよそ間違いのない意思決定ができる。3人のアドバイザーが出てくると、意見調整の時間のほうが構想を練る時間より長くなります。今までの政治家はだいたいそれで失敗しているんです。
橋下 ですから、道州制の実現に向けてどうマネジメントしていくかは、是非大前先生にご協力いただきたいのです。
大前 橋下市長は市長のお仕事をされながら、自分たちの意見をディスカッションする場を設ければいいと思う。これは私でなくても構わないのですが、誰かが音頭を取ってみんなの意見を集約しながら、「これでどうだ」というものを出していければベストですね。
※すべて雑誌掲載当時