「PCR検査で陰性だったから絶対に大丈夫」とは言い切れない

また、ごく微量のウイルスの断片でもPCR検査で陽性になるので、検体が汚染されると「偽陽性」になります。きちんと精度管理されていれば検体が汚染されることはなく、よって偽陽性も起こらないはずですが、そこは人間のやることなので偽陽性事例の報告はあります。感染者が少ないはずの時期に不自然に多くの陽性結果が出れば偽陽性を疑えますが、流行期の小規模な偽陽性は気付かれないままだったこともあるでしょう。

検査で誤って陰性となる「偽陰性」も起こります。体のどこかにウイルスが感染していてもウイルスがいる検体を適切に採取できなければ正しい結果が得られません。2020年春頃にはすでに、新型コロナウイルスに感染して重症化しているにもかかわらず、上気道検体でPCR検査を行った結果、陰性になった症例が知られていました。

新型コロナを強く疑う患者さんでは、複数の箇所から検体を採取したり、何度も繰り返して検査することが推奨されています。感染初期のごくウイルス量が少ない時期も偽陰性になります。また当然ですが、検査時に感染していなくても、検査直後に感染することもあるので「PCR検査で陰性だったから絶対に大丈夫」ということにはなりません。

PCR検査の採材
写真=iStock.com/show999
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検査が受けられる場所はたくさんある

新型コロナウイルス感染症を疑う症状があり、医師が必要と認めた場合は医療機関で検査でき、費用は全額公費負担となります。保健所でも無症状の濃厚接触者などを対象に検査が実施されています。もちろん、費用の自己負担はありません。流行状況や変異ウイルスの特徴などで対象者が変わりますので、最新の情報は各自治体のウェブサイトを参照してください。保健所では希望者に対する検査は行っていません。

それとは別に、希望者が受けられる自費検査もあります。厚生労働省のウェブサイトに「自費検査を提供する検査機関一覧」が掲載されており、検査の種類(PCR検査か抗原検査か)や料金を確認できます。

さらに現在(2022年4月)、地域によっては街中に無料でPCR検査が受けられる場所があります。都道府県等が国からの交付金を財源に行っている無料検査事業で、「不安に感じる無症状者」が対象。有症状者や濃厚接触者は対象外です。実施期間は明確に定まっていませんので、地域によっては無料検査事業がすでに終了しているかもしれません。

これらの検査によって陰性証明書を出しているところもありますが、前述したように偽陰性や検査後の感染もあり得ます。いわゆる「水際対策」として、日本を含めて多くの国では入国時に陰性証明書を要求しています。しかし、出国前の検査で陰性でも、入国時の検査で陽性である事例も多くあったのです。陰性証明書を過信はできません。