︎「研究用」抗原検査キットの性能は不明

現在では、自己検査キットも数多く販売されています。抗原検査キットはすぐに結果がわかりますが、PCR検査は核酸増幅の過程が入りますから検体を郵送しなければなりません。どちらも製品によって性能に差があると考えられます。

抗原検査キットの場合、国が承認した「体外診断用医薬品」と表示されているものは一定以上の性能が確認されていますが、「研究用」とされているものは確認されていません。研究用と称して売られている一般消費者向け商品を、まともな研究者は使わないでしょう。いったい誰が何の研究をしているのか、いつも不思議に思っています。

ドラッグストアの棚
写真=iStock.com/katleho Seisa
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「抗体検査キット」は意味がない

そして、抗体検査キットは意味がないでしょう。一般的に抗体検査は、ある程度の量の血液を採取し、遠心分離して細胞成分と凝固因子を取り除いた血清で行います。ところが、一般消費者は自分で十分な量の採血はできませんから、抗体検査キットは指先を針で刺して採取した微量の血液で検査しますが、この方式だと性能が劣ります。

そもそも先に述べたように抗体を測定しても感染の有無はわかりませんし、抗体ができていても将来的に感染しないという保証にもなりません。だから流行状況の調査で集団における抗体陽性割合を調べるならともかく、個人が調べる必要はないのです。抗体の自己検査キットについては、販売事業者もよくわかっていないか、消費者の不安につけこんだものだと考えます。

いずれにしても偽陽性や偽陰性はありますし、検体の採取を個人が行う検査は、医療機関での検査と比べて信頼性は劣ります。陽性の場合は改めて医療機関や保健所にご相談してください。また陰性の場合でも、新型コロナに感染している可能性は否定できません。