落とし穴③組織に潜む「確証バイアス」に気づかない

AさんやBさんのように、着任後、自分自身の気合と情熱とは異なる方向へと周囲の受け取り方が進んでしまった場合、その人に対する人物評価は「微妙な人」となってしまいます。これは絶対に避けたいところです。

笑って彼らの男性の同僚の背後にある 2 つの若い女性
写真=iStock.com/kzenon
※写真はイメージです

というのも、組織には「確証バイアス」が潜んでいるからです。

確証バイアスとは、その人が抱いたイメージ、仮説や先入観に合致した情報・データだけを求めるような傾向のことです。要は、一度イメージが形成されると、そのイメージを回復することは難しいのです。

「今度来た部長、勝手に進めてばかりで誰も言うこと聞いてないらしいよ」「あの課長の主催するミーティング、微妙だよね。自分がほとんど喋って、結局外れたアイデアばかり進めてる。これじゃ、半年持たないんじゃない」「あの人では、結局決裁取れないから、関連するプロジェクトには巻き込まれないようにしなきゃね」

こうした風評はすぐに社内全体に巡ります。部下からの相談もされなくなるし、案件やプロジェクトも回ってこなくなる。

社長や役員からも「彼は採用失敗だったか……」となってしまったら、取り返しがつきません。

一度ついてしまったレッテルをはがすには…

解決策は、ここで踏ん張り、新たな確証バイアスを周囲につけるしかありません。

まずは「社内のことを教えてください」とあなたから積極的に聞いて回り、理解に務める。その上で、「ということは、これはこんな風にやれるとよいですよね」と提案・相談する。

周囲の同僚や部下たちは、こうした姿をちゃんと見ているものです。時間はかかりますが、確証バイアスは徐々に変わってゆくでしょう。

周囲の状況把握、そのための主要なメンバーと密なコミュニケーション。当たりどころが分かったら、積極的に改善案などを提案する。

この着任初期の鉄則PDCAをしっかり回すことができていれば、新天地での今後の展望は明るいものとなること間違いありません。

転職の成功を決める着任後のスタート

転職が成功か失敗か、決めるのは前職での経験やキャリアではありません。むしろそれらがあればあるほど、落とし穴にはまってしまうのです。

大事なのはひとえに着任後のコミュニケーションの仕方です。

最高のスタートダッシュを決めている人は、上記した3つの心掛けを守っています。

今回ご紹介した実例を参考にして、転職者の皆さんには落とし穴にはまることなく、新しい職場での好発進をしていただければと思っております。

【関連記事】
仕事ができる人は知っている…「よろしくお願いします」より効果的なメールの締めのフレーズ
頭のいい人はそう答えない…「頭の悪い人」が会話の最初の5秒によく使う話し方
40代50代の転職に失敗する人が、ことごとく勘違いする「たった1つのポイント」
"50代サラリーマン無理ゲー社会"で「困ったおじさん」になる人とならない人の決定的違い
ムカつく、面倒くさい、細かい…全サラリーマン共通の敵「厄介な上司」をうまくスルーする方法