ドラマに潜む過去作とのつながり
三谷大河の3作品すべてに出演しているのは、阿南健治、小林隆、山本耕史、矢柴俊博、鈴木京香だ(※潮調べ)。盤石の三谷組と呼んでもいいし、少なくとも18年以上第一線で活躍し続けている名優たちでもある。今後「鎌倉殿」に出れば3作品出演となるのが、今井朋彦、小日向文世、浅利陽介、堺雅人あたりか。
過去作とのリンクで、熱烈な古参ファンを喜ばせる仕掛けもたくさんある。私は新参者だが、『新選組!』と「鎌倉殿」の佐藤浩市の役どころにはうなった。
『新選組!』で京に集まった浪士たちが組み分けされる場面があった。浩市演じる芹沢鴨は血気盛んで、年輩の浪士ではなく自分を一番組にしろとゴネる。「じじいは後ろからついてくりゃあいいんだよ! じじいが先頭で行列遅れてもいいのか?」と無礼千万な物言いをして、顰蹙を買った。
「鎌倉殿」では、浩市は大軍を率いる豪族・上総広常を演じている。鎌倉入りの先陣を切るはずだったが、頼朝が「先陣は若くて見栄えがいいほうがいい」と畠山重忠(中川大志)を任命。納得いかず、ふてくされる浩市の姿に「因果応報……それ見たことか」と思ってしまった。
三谷大河の魅力は尽きない。その時代特有の文化や芸術、言語も教えてくれるし、キャラクターの気質やクセの裏打ちや継承など、続けて観てこそわかる楽しみもある。この1年を存分に楽しもうと思う。