地域住民参加の公園づくりが始まっている

このグラフを紹介しているパークフルネットは日本の公園行政は、第一段階の量的拡大から第二段階の質的整備を経て、いま第三段階に入っていると分析している。第三段階とは地域住民が参画して多様な人が関わる地域の「共創」による公園づくりの段階である。それが、公園の個性を作り出す時代となると分析している。

実際、私が知っている例では、札幌市南区の藤野むくどり公園は、古くなった公園を作り直すのに、市は住民にアイデアづくりを委ねた。住民は、あれこれ議論した結果、アメリカには身体障害児が遊べる公園があると聞き、実際に見に行って、こういう公園をつくろうとなってつくったものである。車いすのまま滑ることができる滑り台、ブランコなどの工夫が凝らされていて、小さな公園だが、日本では珍しいバリアフリー公園となったものである。

藤野むくどり公園の滑り台。車椅子で滑ることができ、介助者が介助しやすい設計になっている。
写真提供=札幌市(「公園検索システム」より)
藤野むくどり公園の滑り台。車椅子で滑ることができ、介助者が介助しやすい設計になっている。
藤野むくどり公園のブランコ。体をしっかりと支えられる椅子型になっている。
写真提供=札幌市(「公園検索システム」より)
藤野むくどり公園のブランコ。体をしっかりと支えられる椅子型になっている。

同じような試みは、東京世田谷区の砧公園でも試みられていて、公園づくりに市民が主体となって参画するスタイルが広がっている。

廃校になる小中学校を子どもの遊び場にしよう

あわせて、大型の公園緑地を作る努力も広がっていて、子どもたちが思い切って体を使い遊ぶことができる公園が徐々にではあるが多くなっている。パークフルネットというサイトでは、全国のそうした公園を1000例紹介していて、住民には参考になろう。

ただし、こうした大型の公園緑地がある自治体とそうでない自治体で差が出てしまっていることをどう克服していくか、これからの課題となっている。

これから、少子化がさらに進めば、小学校・中学校が廃校になるケースが増えてくる。それを放置せず、住民の協力も得て、子どもたちも、地域の人たちも、そこで憩い、遊び、集まり、いろいろな企画をする、そうした新たな拠点にしていくということにぜひ挑んでほしい。子どもの身体を使った遊びの豊かさは、今教育界で求められている非認知的スキルを育てる格好の、もっとも適切な機会なのである。

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