法改正で「児童公園」は高齢者も利用する「街区公園」へ

一般の児童公園は、そこにある遊具でけがをすると、公園課に訴えが届き、結局その遊具を撤去するということが続いてきた。多いときには一年に3000もの遊具が撤去されていた。そのため、現在の児童公園には以前あったようなジャングルジムのような遊具がないところが多い。

その上、児童公園はあっても地域の高齢者用の独自公園はないので、1997(平成5)年の都市公園法施行令の改正により、「街区公園」と名称を変更した(0.25ha以下のもの)。児童の利用のみならず、高齢者をはじめとする街区内の居住者の利用を視野に入れ、コミュニティ形成の役割も期待したものに変えたわけだ。今日本には、文字通り子ども用の公園はなくなっている。

しかし、並行して、こうした冒険遊び場のようなところが子どもたちには必要と考える行政メンバーも多くなっていて、地域の公園を、もっと子どもたちにとって魅力的な遊び場に変えようという努力をするところも増えている。

世界の都市に比べて圧倒的に少ない東京の公園緑地

実は、都市としての住みやすさ、豊かさということにとって公園が豊かにあるということはかなり大きな条件である。残念ながら、日本の都市づくりでは、戦後のどさくさから立ち直っていくのにゆとりがなかったせいもあろうが、公園を充実させるということはかなり遅れてしまっていた。

しかし、世界の都市に比して、公園の数も中身もかなり劣っていることが明確になって、今日本は国でも自治体でも、そして市民レベルでも、新たな公園づくりへの機運が高まっていることは知っておくべきだろう。

図表1は「parkful.net」というグループが公開している「公園3.0の時代へ これからの公園づくりを考える」という文書にも載っているデータである。

公園の数は、かなり増えてきていて、今日本全体では10万カ所を超えている。ただその8割前後は面積の小さな街区公園で(2.5ha以下)で、一人当たりの面積も東京は4.4平米で隣の韓国ソウルの半分以下だ。

以前韓国のインチョン(仁川)の街を歩いたとき、公園に高齢者用のからだを柔軟にする器具がたくさん置いてあるのを見て、公園行政は韓国のほうが進んでいるのではと思ったが、データでもそう出ている。

「都市公園法」が制定されたのは1956年で、以来都市部における公園緑地を増やす方策が一貫して実施されてきた。公園緑地等の一人当たりの面積は、1970年に2.7平方メートルだったのが2004年には8.7平方メートルに増加している。それでも世界の主要都市の公園緑地の面積に比して日本はまだ圧倒的に少ない。