【田中】では、今年「削る」ものはなんでしょうか?

【細見】昨年末ぐらいからサプライチェーンの問題が出てきています。私たちはタイからチキンを輸入しているのですが、年末にはコロナの問題で輸入が滞り、船から飛行機に切り替えて輸送しました。サプライチェーンをどう効率化していくのかが重要です。さらにファミリーマートだけでも1日約4,500台ほどのトラックが走っています。これは環境への負荷でもありますし、これをどう削っていくのかが重要な課題だと思います。

【田中】2022年ファミマの「防ぐ」とはなんでしょうか?

【細見】全般に言えるわけですが、サプライチェーンの維持やチェーン店舗の維持ということを考えると、今年から本格的に始まるのが契約更改です。多くのフランチャイズの契約更改が今年と来年にあります。店舗の皆様にファミリーマートの将来像をお見せしながら丁寧に、一人ひとりの加盟者さんとお話をしてチェーンを維持していく。それが「防ぐ」という文脈では大事だと思います。

ポストコロナを見据えて「稼ぐ」モードに軸足を置く

【田中】2022年はコロナも一服してくると思いますし、してほしいと思います。そんな中で、グローバルマーケットではいろいろな資金流出が見られました。金融業界出身の私としては、今年は大きな変化の1年になると思っています。ビジネスの環境としてはさらに激変が予想される2022年、「商いの三原則」である「稼ぐ・削る・防ぐ」を日本の実業界全般に当てはめるとしたらどうなりますか?

【細見】オミクロン株が拡大中でなかなか思い切った発言は憚られますが、欧米諸国を見るとすでにポストコロナになってきています。グローバルな競争環境を考えると「稼ぐ」モードに軸足を置いていくべきだと思います。

【田中】アメリカでは金利が上がり始めています。グローバルでサプライチェーンがタイトになって、いろいろな所でモノの値段が上がる大変な1年になると思います。最後に、このメディアを見ている経営者、若いリーダーの皆さんに向けて、メッセージをお願いします。

【細見】コロナの2年間、非常にご苦労も多かったと思います、しかしこの2年間は必ず将来のビジネスのテコになってくると信じています。幸い政府の支援もあって家計が傷んでないというところが日本では大きな支えになり、チャンスを広げてくれるキーポイントではないかと思っています。ファミリーマートは2022年も明るく元気に、おいしさを日本に届けられるように頑張ってまいります。ぜひご支援をお願いいたします。

【田中】どうもありがとうございます。個人、まわりの地域社会を鼓舞するファミリーマートであり続けていただきたいと心からお祈りしております。細見社長、本日はどうもありがとうございました。

【細見】どうもありがとうございました。

細見研介氏(左)、田中道昭氏(右)
細見研介氏(左)、田中道昭氏(右)
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