ザハロワはさらに「ロシアは過激思想から遠く離れており、あなた方の方が近いところにいる」と続けた。「あなた方の国の市民は、その悪影響を受けることになるだろう。このナチズム、ナショナリズム、過激主義というバクテリアは、目覚めさせるのは容易でも、追い払うことは不可能だからだ」

ロシア政府はまた、アゾフ連隊のようなナショナリストたちについて、複数の「疑惑」を主張。ロシア軍の部隊が包囲している複数の都市で「彼らが市民を人質に取っている」、ロシア軍が砲撃したとされている人道回廊を「彼らが塞いでいる」、ロシア軍が空爆したとされている東部マリウポリの産科医院を「彼らが占領していた」と主張した。

本誌はこれらの主張について、ウクライナ国防省にコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。しかしウクライナ政府は一連の疑惑を断固否定しており、ユダヤ人である同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、戦闘でもメディアでも、ナチス式の戦術を使っているのはプーチンの方だと主張している。

ゼレンスキーは7日に、アメリカの主要なユダヤ組織の幹部たちとのビデオ会談の中で、「プーチンはウクライナの市民を、国籍が違うというだけで殺している」と主張し、さらにこう続けた。「これはまさにナチスのやり方だ。ほかに表現のしようがない」

解決策を模索

ゼレンスキーは同時に、プーチンとの直接交渉も模索している。ウクライナとロシアの代表団は、ロシアの同盟国であるベラルーシで、今後も停戦交渉を行う予定だ。

ロシア政府はウクライナに対して、1)戦闘を停止すること、2)ウクライナ東部の親ロシア派組織が自称する「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を承認すること、3)クリミア半島に対するロシアの主権を承認すること、4)NATOへの加盟申請を取りやめて、中立を保つよう憲法を改正することを要求している。

ゼレンスキーはロシア側の「最後通告」に黙って従うことはないとする一方で、プーチンと直接話すことで、「実現可能な解決策」を見出せるかもしれないと述べている。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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