ここでいう「コミュニティ」とは「同じ対象に対してなんらかの関心や利害を持つ人々の集団」で、音楽やスポーツを対象とする集団やアップル、レゴといったブランドや製品を対象とする集団を思い浮かべてもらうとわかりやすい。

アイデア創造段階で創造的消費者と共創関係を築きたいと思うメーカーにとっての問題は、消費者イノベーターが極めて少数でしかもそこで行っている製品の創造・改良を本人レベルでとどめてしまっていることだ。実際、筆者の調査でも消費者イノベーターが行った製品イノベーションについて詳しい情報を仲間や企業に開示していたのは日本で11%、米国で18%だった。

さらに同製品イノベーションを仲間や企業が複製・市場化していると回答した消費者イノベーターは日本で5%、米国で6%でしかなかった。

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図表1 コミュニティに属する消費者イノベーターの行動

そうした点で「コミュニティ」に所属している消費者イノベーターは自分が行った製品イノベーションを他者に開示する傾向がある。自分が創造したり改良している製品に関連するコミュニティに所属している消費者は製品を作ったり手を加えること自体を楽しいと思っていて、その製品が他の人の役に立てばうれしいと思っているからだ。

あるいは、自分が作ったものが所属するコミュニティで評判になったり、製品を通じてコミュニティの人から自分が尊敬されるようになることを期待しているからだ。

さらにそうしたコミュニティに属している消費者イノベーターは製品創造や改良に関わる技量を学んだり、伸ばしたりしたいと思っている。そこで自分が作った製品や取り組んでいる問題をコミュニティのメンバーに開示し助けを求めることがある。