“逆算時間”に追われ続ける育休明けの社員

2人目は、育休明けの2児のお母さんBさん、30代の方です。

Bさんは次女を出産後、4月からの育休明けの予定でしたが、部署が人手不足のため3カ月早く職場復帰しました。

コロナ禍でもBさんの部署は全員出社していました。

日常のスケジュールをお聞きすると、平日は保育園のお迎えのために18時に退社。0歳と5歳の子供たちの相手をしながら、ご飯を作って寝かしつけてから、夜には家で仕事を再開。週末は家事と育児と持ち帰りの残業で、家と会社の境目もないような生活が続いているとのことでした。

私はこのような人を“逆算時間”を生きている人として、注意して面談をしています。

逆算時間というのは、朝起きたら、子供の登園時間から“逆算”して、家を出る時間、朝食の時間、子供を起こす時間を考える。子供を園に送り、出社すると今度は、お迎え時間から“逆算”した退社時間に向けて、“逆算”して日中の業務をせわしなくこなす。友人との優雅なランチタイムなどはなく、5分でも早く退社するために、いつもデスクランチか昼食抜き。そして、子供と帰宅すれば、明日子供を起こす時間から“逆算”して寝かしつける時間を計算し、さらにそこから“逆算”して全ての家事育児タスクをこなすといった時間の使い方を指しています。

仕事場でランチを食べる女性
写真=iStock.com/inewsistock
※写真はイメージです

このような生活が続くと、仕事量が多い場合はもちろん、仕事量が平均やそれ以下でも、次第に心身ともに疲れ果てメンタル不調になってしまうことがあります。

睡眠不足で忙しい日々が延々と続くのではないか…

Bさんは最近、疲れて眠れるはずなのに、寝付けなくなってきたと言います。その時決まって考えてしまうのは、上の子は4月から小学生となるが、子供の勉強のフォローやPTAや保護者会の参加等々、今の生活プラスアルファの忙しさを思うとやっていけるだろうかということでした。

おまけに、保育園と小学校に通う子がいるということは、新型コロナ感染症により登園(登校)ができなくなる確率、子供が日中家にいなくてはならない=親も家にいなくてはならない確率も2倍になることが不安でたまらないと話します。

また先日、部署の若手が1人、3月末に退職することを知りました。次の人が来るのかもわからず、業務は増えるとしか思えない。

睡眠不足の中、日中の忙しさをこなす生活が来月からも延々と続くのではないか。主人も家事も育児もやってくれているから、恵まれているはずなのに、なんだか気分が晴れずにイライラしてしまうこともある。いろいろと堂々巡りの考えが続き、寝なくてはいけないのに、眠れない……。